【写真】3月19日開催の市議会定例会。修正動議を発議する田村市議

女性市議はその時どう動いたか
「出産祝金廃止条例案」急転の舞台裏【1】

 伊勢崎市議会定例会の3月本会議の新年度予算案で、議決前夜まで賛成多数で可決が見込まれていた「第3子以降出産祝金廃止条例案」。一人会派を中心とする市議5人が、周知期間不足と経過措置を求める修正動議提出のなか、民意を受けたとして定数の過半数を占める最大会派、伊勢崎クラブ(原田和行会長)が、一夜にして否決に転じて継続が決まった。

 伊勢崎市は6月18日の市議会本会議で出産祝金継続は20年までの2ヵ年、以降は子育て支援策の総合的検討で、支給額を含め判断する、と改めてその方向性を打ち出した。否決は問題の単なる先送りだったのか。真の民意はどこにあったのか。急転の舞台裏で議会制民主主義のダイナミズムと危うさを垣間見せた伊勢崎市議会の動きを追った。

 年200人〜300人が受給しているという伊勢崎市の出産祝金。第3子以降の出産に対し、新生児一人に10万円を支給しているが、新たな学校給食費一部補助の予算化やその他の子育て支援を総合的に勘案し、3月末での廃止を決めた。この条例案を上程したのが2月19日の本会議。一人会派(当時)の堀地市議が、周知期間のあまりの短さと、これを補う経過措置を求めて、賛同が見込まれる市議らに修正動議提出を呼びかけた。

  前代未聞の「委員会で可決、本会議で否決」

 本会議の円滑な審議に向けて事前の予備調査的審議を担う、所管の文教福祉委員会開催は3月7日。廃止案の経過措置など修正を考えていた伊勢崎クラブ所属の小暮笑鯉子市議だったが、皮肉にも同委員長を務めていた。会派の意向を受けた委員会運営の中で可決を余儀なくされたため、委員長を辞任。会派も離脱後の3月14日、田村幸一・堀地和子・森田修・高橋宜隆市議らの修正動議提出の署名に名を連ねた。

 3月19日の伊勢崎市議会定例会本会議の出産祝金廃止条例案審議。修正動議否決後の廃止案採決で、議場には拍子抜けしたようなわずかなどよめきが広がった。廃止案の採決に賛成起立したのが、一人会派のわずか2人だったからだ。伊勢崎クラブが前夜、幹部などへの電話による根回しと本会議当日の早朝の集まりで、会派の否決を慌しく確認した。委員会審議の可決原案が、本会議で否決されるというのは前代未聞の事態だった。

 「伊勢崎クラブはイエスマンではない」

 原田会長は「批判の声が高まってきたことを受け止めた。急だったこと、会派の中には様々な意見もあり議論したが、最終的には私の考えに同調してもらった。会派がイエスマンといわれることもあるが『ダメなものはダメ』という姿勢は評価を受けたはず」と胸を張る。小暮市義の会派離脱や修正動議参加については答えなかった。

 周知期間不足と経過措置の必要性から、修正動議署名に加わらなかったものの、修正動議には参加した一人会派の伊藤純子市議は「出産祝金はその子供たちの将来につけをまわすようなもの。本来なら廃止すべき」と持論を力説する。伊勢崎クラブ所属の栗原麻耶市議は、自身が4人目を4月下旬に出産した当事者。議案を目にした時のショックは大きかったが「公平に多くの市民が安心できる子育て環境の充実を」と会派の意向に沿い、採決当日朝まで廃案の賛成討論を予定していた。共産党の長谷田公子市議は「子育て支援の後退、施策決定過程が不明瞭」など、党として明確に反対した。田部井美晴市議が所属する公明党は、採決時に反対が明らかになった。

 伊勢崎市議会定例会の6月18日開催本会議の高橋市議の質問で、出産祝金廃止条例案の今後の方針に加えて、条例案に対する市民の意見も明らかになった。否決前の意見は「継続か否かの問い合わせ」と「継続要望」が各3件、「不妊治療補助振り替え」1件の計7件だった。このうち2人が市民への周知期間が短いことも指摘していた。否決後は「継続か否かの問い合わせ」2件に留まった。(2019年6月25日)

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「1面ニュース記事」(いせさき新聞2004年〜2018年)の過去記事。
2004年〜11年 2012年〜13年 2014年〜17年 2018年1月〜8月
【写真】大規模改修工事中の伊勢崎市文化会館

大規模改修後の文化会館に市民ギャラリー
五十嵐清隆 伊勢崎市長に聞く 2019【3】
 
―― 5重点政策のひとつ「教育・スポーツ文化」では、伊勢崎市文化会館が大規模改修中ですね。

五十嵐市長 利用開始は来年4月となる。耐震化に伴う改修工事により1年半近く閉館することで、市民の皆さまには大変ご不便をおかけしている。建物は築35年を迎えるが、改修後も35年間は大きな震災にも耐えられる造りにして「安全・安心」に最大限配慮する一方、市民の要望による市民ギャラリーを開設する。もともと結婚式場として計画され、その後倉庫として利用していた3階の150平方メートルのスペースを活用する。

―― 美術関係団体などからは単独の美術館建設の要望もあります。

五十嵐市長 市所蔵の作品もあり、また市内には絵画、書、写真など熱心に活動している団体も多いので、将来的にはそうした要望に応えていかなければいけないと考えている。ただ限られた財政の中では、取り組むべき優先順位も自ずと絞られてくる。経済基盤を着実に整え、地域経済の好循環を促すことで市の財政力をより高めていきたい。

―― 地元選出の井野俊郎衆議院議員が、県内にサッカースタジアムの建設を呼びかけています。五十嵐市長もかつて、前橋市と伊勢崎市にまたがる多田山工業団地内に同様の誘致を検討していたことがありましたが。

五十嵐市長 もし造るとなれば市営と言うわけにはいかない。県営を誘致することになるが、群馬県も高崎競馬場跡地のコンベンション施設建設などで、今はそのような機運はない。ただ、現在の前橋市内のサッカー場が、いつまでも陸上競技場と併設というわけにもいかず、いずれ専用スタジアムが必要になる時がくるはず。その際に建設地を伊勢崎に指定してもらえれば、提案できる適地は市内に十分あると思っている。

―― 国は昨年12月、人口の東京一極集中を是正し、地域経済や住民生活を支える「中枢中核都市」82市を選び、伊勢崎市も仲間入りしました。

五十嵐市長 伊勢崎市が人口の減らない発展の可能性があることを、国も認めてくれたという事だと思う。東京圏の人が伊勢崎に移り住んでもらえる職場確保や住宅環境の整備も推進したい。宮郷工業団地周辺の田中町では、既存道路改良などで転入者の受け皿にもなる住宅地の整備を始めている。平成27年度に「伊勢崎市まち・ひと・しごと創生総合戦略」を策定した。戦略に基づき、ここで生まれ育った子供たちが、例え一時まちを離れても再びこの地に戻り、次の世代を育てていくという好循環を築くことで、いつまでも人口が減らない、元気な都市を目指したい。(2020年2月17日)


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「1面ニュース記事」(いせさき新聞2004年〜2018年)の過去記事。
2004年〜11年 2012年〜13年 2014年〜17年 2018年1月〜8月
【写真】残り1区画となった宮郷工業団地

「シンボルロード最優先に」駅南第一土地区画整理
五十嵐清隆 伊勢崎市長に聞く 2019【2】

 
―― 「人口の減らない元気なまち」を掲げている伊勢崎市。安定的な生活基盤を築くために、雇用確保が求められているなか、約60ヘクタールの伊勢崎宮郷工業団地(田中町他)分譲が好調ですが、新たな工業団地造成が急務となっています。事業化を進めている2ヵ所の新工業団地計画について今後の見通しは。

五十嵐市長 宮郷工業団地はアクセスの他、利便性が非常に好評を得ており、未分譲は残り1区画(6・6ヘクタール)まできている。これに続く新産業団地として、伊勢崎南部工業団地周辺区域、境北部工業団地周辺区域を候補地として計画している。南部工業団地周辺は今ある工業団地の周辺で、ひとつにまとまってというより、周辺に分散する可能性もある。これまで国や群馬県企業局と事業化に向けた協議を進めており、これに基づいて今後、地権者の意向調査や土地調査などを始める。5、6年後に分譲開始にもっていければと考えている。

―― 区画整理事業による伊勢崎駅周辺再開発では、南北の駅前広場や駅南口の公園「大手町パティオ」が整備されました。事業もいよいよ佳境に入っています。


五十嵐市長 今後の整備では伊勢崎駅の南に接する第一土地区画整理事業の幹線道路・駅南口線を最優先に取り組んでいきたい。これはベイシアさんから織物会館に抜ける、いわゆるシンボルロードと呼んでいる幅広道路。現状の狭い道では朝夕、高校生の自転車通学に危険が及んでいることもあり、とにかく整備を急ぎたい。とはいえ国の補助が年々削減され、財源確保が非常に厳しい。計画の見直しによる変更で、事業費は3分の2、工期も短縮することで事業継続が可能になっている。

―― 第一土地区画整理地内にあり、中心市街地の活性化という面からも、鹿島町に移転した福島病院跡地の活用に市民の関心が高まっています。

五十嵐市長 区画整理地内の福島病院跡地は、区画整理事業の換地用地として確保していたもので、来年度にはその換地計画が固まる。その時点で、そこに移転したいという地権者がいなければ、換地以外の新たな活用方法を検討することになる。(2019年2月13日)
                           
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「1面ニュース記事」(いせさき新聞2004年〜2018年)の過去記事。
2004年〜11年 2012年〜13年 2014年〜17年 2018年1月〜8月
【写真】5重点政策を語る五十嵐清隆伊勢崎市長

「児童福祉を最優先」も5重点政策バランスよく
五十嵐清隆 伊勢崎市長に聞く 2019【1】

 
将来人口見通しとその実現性を盛り込んだ「市まち・ひと・しごと総合戦略」で、「人口の減らない元気なまち」を標榜している伊勢崎市。「安全・安心」「教育・スポーツ文化」「行財政改革」「地域経済」「福祉・医療」の均衡のとれた5重点政策の着実な取り組みが続く。市人口は3年前より1827人増の21万3639人(1月1日現在)。これまでの歩みと今後の取り組みについて五十嵐清隆市長に聞いた。

―― 5重点政策のなかでも力を注ぎ、取り組んでいるのは。

五十嵐市長 今は「福祉・医療」で、とりわけ児童福祉を最優先に、子育てしやすい環境を整えている。全小中学校の教室へのエアコン設置は平成23年度から2ヵ年。和式トイレの洋式化は、平成26年度から4ヵ年かかった。エアコン設置は国に補助金申請したが、まだ取り組みが早すぎたのか自主財源で賄った。2年目は何とか補助金が認められた。

―― 教室のエアコン設置やトイレの洋式化を、他の自治体に先駆けて取り組んだ、そのきっかけは

五十嵐市長 平成22年の猛暑の7月初めに宮郷第二小学校を訪れた時、新旧校舎の教室で、快適な冷房教室と37度を超える中、扇風機だけの教室を目の当たりにした。低学年・高学年に関わらず授業の関係でいずれかの振り分けられるのを知り「これは何とかしなければ」と痛切に感じた。トイレの洋式化は、児童の「トイレが使えない」「体調を壊した」など、家庭ではほとんど見られない学校の和式トイレ利用の悩みを保護者から聞いたためだ。当初は3カ年で、と取り組んだが、1校あたり1億円近い費用がかかるため、結局4年かかってしまった。

             5歳児検診 新年度から市内全63園に

―― 福祉・医療関連で、その他にどのような取り組みを。

五十嵐市長 街中に設置を求められていた障害者の交流拠点となる専用の障害者センターを平成29年4月、西田町に開設した。保護者の皆様のさまざまな意見も取り入れ、調理実習などもできる厨房も整備している。既存施設を取得、改修したので、土地の取得から施設を開設するまでの期間を短縮するとともに費用も抑えることが出来た。赤堀南小・宮郷小学校区には昨年度、放課後児童クラブを開設している。5歳児健康診査では一昨年度4園、昨年度10園のモデル事業を新年度には全63園に広げる。楽しく快適な学校生活や子育て環境の充実など、例え一時、伊勢崎を離れても故郷を想い起こし、いつの日かこの地に戻ってきたいと思える地域、人口の減らない街づくりをしていきたい。(2019年2月7日)
                         

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「1面ニュース記事」(いせさき新聞2004年〜2018年)の過去記事。
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