【ほりこし けいにん】1980年3月28日、下仁田町生まれ、玉村町在住。下仁田高校、大正大学人間学部仏教学科、東京福祉専門学校作業療法士科卒業。実家の天台宗僧侶、作業療法士として勤務。2016年、民進党から参議院議員選挙出馬し落選。2017年、衆議院銀選挙の北関東比例単独候補で初当選。国会は環境委員会・政治倫理の確立及び公職選挙法改正に関する特別委員会・消費者問題に関する特別委員会委員。家族は妻と三姉妹(中3〜小2)、保護猫。
コロナ禍疲弊経済に「給付と減税で消費促したい」堀越啓仁氏
次期衆院選群馬2区「候補者に聞く」【1】

 次期衆院選(10月19日公示、31日投開票)で群馬2区から出馬する、堀越啓仁前衆院議員(立憲民主党)と元衆院議員の石関貴史氏(無所属)に、政策を中心に考え方を聞いた。井野俊郎前衆院議員(自民党)は「多忙の折」として取材ができなかった。1回目は自らを「伴走型」とし、人に寄り添う政治スタイルが持ち味の堀越氏。 

 家庭医療制度の充実と予防医療に注力

― 自宅療養を余儀なくされ、死に至るコロナ感染者も出た医療崩壊の大きな要因と、今後のコロナ対策について。

堀越 日本の医療機関は公営30パーセント、民間70パーセント。コロナを封じ込めている国はこの逆だ。効率化だけを求めた地域医療機関の再編・統合などで日本の医療制度は崩壊し、コロナ禍対応で表面化した、ということだと思う。現制度のままの対策では医療費が増大するばかりだが、まずは病床の確保を急ぎたい。今後の大きな仕組みとしては、家庭医制度の充実が必要。疾病治療に診療報酬を払うのではなく、地域で病気がなくなったら診療報酬を支払うなど、予防医療に力を注ぐことが重要になってくる。

― コロナ禍で経済がますます疲弊、停滞しています。どのような対策が必要でしょうか。自国通貨を自由に発行できる国は財政破綻しないとする「MMT」理論についても所見を。

堀越 プライマリーバランスの均衡、財政規律は一旦凍結し、大胆な財政出動を行うべき。消費を促す給付と減税、とりわけ持続化給付や低所得者層を対象とした給付金は絶対に必要。党が提案している1000万円以下の所得者の所得税免除、消費税の5パーセント減税などで全ての人に恩恵が行き渡ることを実施したい。「MMT」理論については財務省のホームページにも書いてあるが、そういう雰囲気はない。私は割と支持しており、京大の藤井聡教授をお招きして何度も勉強会を開いている。

 生活安定に非正規労働者問題解決へ

― 以前から叫ばれ続けている少子高齢化問題は、未だに先が見通せません。

堀越 非正規労働者が50パーセントに届こうとしている労働行政を変えていかないと解決しない。生活が安定することで、結婚や子供を産もうと考える人は増えてくるはず。さらに国が出生や子育て、教育に、より予算を割くことが必要だと思う。労働力不足にはITなどテクノロジーを活用したい。

― 激しい米中対立の中、台湾を巡る緊張も高まっています。外交、防衛もこれまで以上の慎重な対応が求められます。憲法9条改正の是非についても所見を。

堀越 日米同盟の強化がさかんに叫ばれているが、これだけに頼る楽観論は避けたい。加えて緊張関係にある諸外国と外交のパイプを築くこと、それをより強固にすべきだ。憲法9条の個別的自衛権は認めるが、なし崩し的に決められた集団的自衛権には反対する。憲法9条の改正論議は必要だが、前提として国家権力の専制化や恣意的支配を防止・制限する立憲主義を理解し、政権を縛る鎖を強固にしないといけない。

 代替エネルギーに水力活用も 

― 脱炭素社会に向けて世界が一気に動き出しています。国は原発稼働を組み込んだエネルギー政策を進めていますが。

堀越 原発は基本的に即停止で、再稼働、ましてや新・増設はありえない。代替エネルギーの安定的供給としては、水力の可能性に期待している。機能を持たないダムの後付け工事による水力発電、小水力として農業用水も嵩上げ工事で対応が可能だ。河川法を改正し、治水・利水で水エネルギーの有効活用を推進したい。

― 選挙のたびに投票率の低さが目立つ伊勢崎市ですが、市民、とりわけ若者の政治への関心を高めるために何が必要でしょうか。

堀越 若者が政治から離れていくのではなく、政治が若者を遠ざけている面もある。潜在的な関心はあり、そこに我々がコミットできていないだけ。私の場合、日々さまざまな形の座談会を開き、これを積み重ねている。若い人が「楽しいから、面白いから行ってみよう」と次の集まりに、他の友人に声をかけてくれる。そんな連鎖で、政治をもっとカジュアルにしていきたい。
座談会
 【写真】玉村町内で県立女子大生が主催した「ごちゃまぜ座談会」(中央左が堀越議員)

 深夜のファミレスで仲間に背中押され政界へ 

 【横顔・取材メモ】 福祉医療現場で働く中で、周囲の環境が国の施策から置き去りにされているという危機感を覚え、野党統一候補擁立に向けた市民ネットワークをつくった。候補者が絞り切れない中、仲間と話し合う深夜のファミレスで、最終的に背中を押された。

「1日にほぼ3回は着替える」というのは、主催の他、招かれた座談会、高座、政治ラボなど、集まりの雰囲気に合わせるため。ほぼ週末はこうした集会で埋まり、ネクタイ姿は少ないという。介護士や保育士、障害児の母親など、とりわけ女性グループが多い。わかりやすく、同じ目線での語りかけが、集会の連鎖を呼んでいる。

 政治家タイプとして「その能力は決して高くない」と分析し、自らを「伴走型」と捉える。補強手段のひとつとして、コミュニティシンクタンクの確保も計画している。一方、バンドマンのキャラクターを活かした情報発信には長けている。インスタグラムのフォロワー16,000人は「政治家としては多いほう」と胸を張る。

 休日は子どもたちと近場のキャンプなどで過ごすアウトドア派。議員活動の合間の僅かな休憩は、バンド活動のためにとギターやウクレレの練習に忙しい。作曲活動では新曲が完成し、近くSNSなどに配信する。タイトルは「約束」。(2021年10月12日)

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