「伊勢崎駅ピアノ」お披露目セレモニー。ラッコタワーのキーボード、真一ジェットさんが演奏(2022年7月16日伊勢崎駅南口駅前通路)

「まちなか宣言」ビジョン明確に駅南口活性化
臂伊勢崎市長に聞く‐2023【2】(2023年4月5日)


 官民連携組織「まちなか活性化支援会議」が策定した「まちなか宣言」は、イベントや交流、空き家再生など8項目を掲げた。これまでの一過性イベントに終わらない、将来像を明確に打ち出した中心市街地活性化策だ。企業誘致に欠かせない新規産業団地造成、3月末閉鎖の伊勢崎地方卸売市場の跡地利用など、地域経済の活性化対策を中心に聞いた。

 ― 「まちなか宣言」策定の狙いは。

 臂市長 まちなかの活性化をテーマにしたシンポジウムでの意見交換、まちなかに関する市民アンケートなどの回答に基づいてまとめている。まちなかに関わる全ての市民に共有していただく将来像(ビジョン)を定めることで、その実現に向けて連携、協働がさらに進むものと考えた。宣言後は巡回展示会を開催してきたが、地域や学生の皆さんと連携、工夫をこらすなど、引き続き多くの施設やイベントを通じて宣言の周知、将来像の共有化を図っていきたい。

 ― 伊勢崎市の場合、街の中心は従来、本町を中心とした商店街のイメージが強い。今後はこの商店街、駅周辺、さらに整備中のシンボルロード沿道が「まちなか」の対象ですか。

 臂市長 本町通りはこれまでも土地区画整理事業や商業近代化などに取り組んできた。今後は中心市街地として、さらに伊勢崎駅南口エリアまで拡大してハード・ソフト事業で融合。これから形成していく3つの核を中心に、人が集い、往来する賑わいを生み出したい。まず南口駅前広場は、民間主催のイベント利用などの積極活用を促す。事業区域内の福島病院跡地に開設する「(仮称)新保健センター・子育て世代包括支援センター」が2つ目の核となる。3つ目は駅前から南下する整備中のシンボルロード沿線の土地利用を図る中、事業区域に隣接する伊勢崎織物協同組合所有地の有効活用だ。庁内、有識者検討委員会の意見書を基に、本年度中に基本構想を策定する。

 ― 駅周辺の活性化に向けた活動の担い手「まちなかイノベーター」は、国の地域おこし協力隊の制度を活用した伊勢崎市初の取り組みです。

 臂市長 本市独自の「まちなかイノベーター」という名称で、4月から1年間、最長で3年間活動していただく。まちなかが抱える課題に向き合い、その解決につながる新しい仕事を創り出すために、自らの将来設計として起業準備などにも取り組んでもらえればと思う。まちなかに新しい風を吹かせてくれることを期待している。

 ― 地域経済の活性化として「まちなか」から郊外に目を転じた時、新たな企業誘致が欠かせません。そのための新規産業団地造成が急務です。取り組んでいる計画の進展状況は。

 臂市長 現在は南部工業団地周辺の長沼町地区(21.5ヘクタール)、国領町地区(18.8ヘクタール)、境北部工業団地周辺の境東新井地区(39.2ヘクタール)の3カ所で事業化に取り組んでいる。国領町地区は市街化区域への編入に向けた都市計画手続きを進めており、1月に地元説明会を開いた。今夏から秋の市街化編入を目指す。その後は地権者の協力を得て、用地取得に入りたい。長沼町地区と境東新井地区については、地元調整や関係機関との協議を進めている。

 ― 3月末閉鎖で市に返還された伊勢崎地方卸売市場(日乃出町)跡地の活用も関心を集めています。

 臂市長 売り払いを前提とした準備を進めている。2023年度に敷地と建物を含めて現地調査を実施。調査結果に基づいて具体的な売却方法などを決めたい。(次回に続く)

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