時折笑顔を交えてインタビューに答える臂市長

電子地域通貨が地域活性化の新たな価値創造ツールに
臂伊勢崎市長に聞く‐2023【3】(2023年4月13日)

 ― 5月8日以降、新型コロナウイルスの感染症法上の位置づけが「5類」に引き下げられます。伊勢崎市として以後の方針は。

 臂市長 県の方向性もみながら、可能なものは5月8日を待たずに緩和する。制限などはなくなるが、感染状況に応じて公共施設での感染防止対策、市民の皆さまにも基本的な感染防止対策は引き続き呼び掛けていく。

 ― マニフェストに掲げていた保健所設置が可能となる「保健所政令市」へ、2026年4月移行を想定した検討結果を明らかにしています。この決断にはコロナ禍も影響しましたか。

 臂市長 市民の健康問題を考えた時、感染状況など、やはり直接情報を持っている方がより迅速な対応ができると感じた。運営や人材確保などさまざまな課題はあるが、コロナで自前の保健所設置の思いをより強くした。外国籍の住民との共生や関係性、商工団体など産業界との連携の重要性、行政情報の発信では広報の充実など、コロナ禍でより見えてきたことは多い。

 ― 同様にマニフェストで掲げた、高齢者の活躍を後押しするための基本理念を定めた「伊勢崎市高齢者が生き生きと活躍できる社会の実現の推進に関する条例」が4月1日から施行されました。

 臂市長 少子高齢化の進行と人口減少対策には、子育て支援に力を注ぐ一方、高齢者が地域の担い手の一人として活躍する環境づくり、世代間の共生が必要だと感じていた。就労、趣味や学び直し、ボランティア活動など、高齢者が生きがいを持ち、その希望と適性にあった活動に取り組む社会の実現が、問題解決策のひとつになるはずだ。老人クラブの活性化の他、市民や事業者、地域活動団体の皆様と連携・協力しながら、条例の基本理念の実現を図っていきたい。

 ― 導入を予定している電子地域通貨の名称選びを実施中(4月21日まで)ですが、仕組みや導入の狙いは。

 臂市長 スマートフォンのアプリやQRコード付きカードを利用して市内加盟店でポイントを使った支払いができる仕組み。今年度は従来の30%のプレミアム付商品券事業を電子地域通貨で実施する。発行総額はプレミアム分を含めて10億4000万円、加盟店は初年度500店を目標にしている。紙の商品券に比べて店の負担を大幅に減らし、利用者は1円単位の支払いにも使える。行政からの様々な給付事業手続きを迅速にし、行政や地域事業への参加、協力の際のポイント付与など、市民参加を促すことも期待できる。市民、事業者、行政にとって利便性の向上が図られ、新たな価値創造の可能性を秘めた魅力的なツールとなる。地域全体のDX(デジタル トランスフォーメーション※デジタル技術による社会の変革)推進のため、その基盤を整備していきたい。

 ― 行政のデジタル化推進にあたっては、全国的にマイナンバーカード普及が進んでいます。伊勢崎市の現状と今後の目標は。

 臂市長 本市のカード交付率は2月末時点で58・2%(全国63・5%)、申請率は69・11%(全国74・8%)。今年の1月に市民課にマイナンバーカード係を設置し、職員も増員するなど交付体制を強化している。本年度末時点の目標は交付率65%、翌年度末で70%としているが、前倒し達成で1日にも早く全国に追いつき、追い越せるようカード普及に取り組んでいる。

 ― 地球温暖化対策の一環として伊勢崎市は2035年度までに公用車で電気自動車30%、ハイブリッド車65%、プラグインハイブリッド車5%の切り替え目標を立てています。

 臂市長 本市は昨年12月、公用車への次世代自動車導入計画を策定した。導入を進めていくのは公用車308台のうち軽自動車が70%の215台、小型自動車が22%の67台、普通自動車が8%の26台を計画している。各メーカーの電気自動車販売がまだ少ないことから低燃費のハイブリッド車を先行して導入していく。今後、電気自動車の車種が増えてきた時は、次世代自動車の販売事情に応じて導入計画を見直していきたい。


【取材メモ】
 春の桜、夏の蓮などで地域の憩いの場として愛されている伊勢崎市境伊与久の「伊与久沼」。この魅力を内外に伝えようと発足した「伊与久沼有効活用の会」が、テレビ東京「緊急SOS!池の水ぜんぶ抜く大作戦スペシャル」に応募し、3月19日に放送された。
 生き物確保やごみ拾いに参加したのは地元のボランティアおよそ200人。MCの田村淳(ロンドンブーツ1号2号)さんが番組冒頭、ゴム長靴や作業服のボランティア集団の中に一人だけスーツ姿の臂市長を見つけ、いじってきた。
 臂市長がマスク越しにぼそぼそと答えたが、テレビではよく聞き取れなかったので取材時に確認した。その返答は「長靴は持ってきました」。もっとも撮影開始が30分遅れて次の予定が迫っていたため、求められても対応できなかったそうだ。時間が許せば律儀な臂市長のこと、参加者との一体感を醸成するゴミ拾いパフォーマンスを見せたのかもしれない。 

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