【行政/議会】伊勢崎市政や群馬県政、市議会や県議会、選挙などの伊勢崎に係る?話題を取り上げ、まちづくりを中心に行政の多様な取り組を紹介していきます。情報はinfo@press-isesaki.com
 任期満了に伴う伊勢崎市長選(来年1月10日告示、17日投開票)は、12年ぶりの選挙戦が展開される。五十嵐清隆現市長が支援を表明し、政策継続をベースに改革も訴える元自民党県議の臂泰雄氏(67歳 豊城町)、市政の刷新を掲げる36歳の4児母親で市議の栗原真耶氏(境上武士)、政治は未経験ながら「教育と政治は同じ」の理念の基に出馬する異色の学習塾経営者、蓬沢博亮氏(38歳 太田町)。これまで市政に無関心な市民にも、興味を喚起させる政策論争が期待される。政策を中心に3立候補者に聞いた。
第2回目は栗原真耶氏。

 ― 市議会議員立候補以前から政治には関心を持っていたのですか。

栗原 政治家に良いイメージがなく、当時は興味も関心も全くなかった。結婚して夫の住む伊勢崎に来た時、友達が欲しくてママ友を募り、さまざまなイベントを開いたりしていた。最終目標のグリーンドーム開催で、達成感のあとの空虚な思いにかられている時に、市議補選の話が出た。みんなで地域を造っていくのが議員の仕事と聞き「何かすごく楽しそう」が始まり。専門用語を覚え、家計と桁違いの予算額などに慣れるまで必死だった。

 ― 市政の現状と市長選に立候補するという決断までの経緯は。

栗原 子育てや高齢者の困っている実態がわかってくるにつけ、一議員ではどうにもならないもどかしさを感じていた。今年に入ってのコロナ渦で、その対応力とスピード感の欠如、情報発信不足など、市民の不安の声を聞く機会が増えた。「トップに立たないと今の体制は変えられない」という思いが、春ごろからふつふつと湧いていた。問題点のひとつは、市政に対する市民の無関心だと思う。どんなに素晴らしいビジョンを掲げても振り向いてもらえない。何より市政に興味、関心を持ってもらうことが必要だ。

― 市政への関心を高めてもらうためにどのような取り組みを。

栗原 Lineアプリなどのコミュニケーションツールで、市や市長を身近に感じてもらえるようにする。21万市民に向けて力を注ぎたいのは、各行政区、各団体、各世代別との対話集会開催だ。私自身が皆さんの集まりに、積極的に足を運ぶつもり。そのためには常に分かりやすい情報発信が必要で、広報体制ひとつとっても見直したい。逆に市民の小さな困ったが届くような環境と、速やかに対応できる役所づくりが急務と感じている。

―4児の母親として、子育て政策には当事者の声が反映されそうですね。

栗原 ゆとりある子育てのために、子育て世代包括支援センターには、メンタルもサポートするカウンセラーの配置など機能の充実と、子育て世代に加えて周囲や前後の世代でも支えあう「子育てシェアシステム」構築を考えている。旧福島病院跡地に計画している新保健センターは複合化したい。新会議所会館を計画している伊勢崎商工会議所と連携し、中心街の活性化を促していくためのひとつの案として、複合化も提案してみたい。

― 先の見えないコロナ禍ですが。

栗原 今最も大切なことは市民の皆さんの不安を少しでも解消すること。私なら自ら積極的な記者会見、情報発信に努めたい。休校・休園時の対策、市役所予防・対応マニュアル作成、市民や企業への各種支援強化を打ち出したい。財政難の中で無駄を省き、「稼ぐ伊勢崎市」にするため、1期4年ごとの2000万円の市長退職金を廃止し、それをさまざま支援に役立てたい。トップセールスで企業誘致や観光客増加を図りたい。

― どんな市長像を描いていますか。

栗原 市民のための市長になりたい。市長は特定の組織や一部の人たちで、調整してつくられるものではない。自分のいろいろな考えに対して「きれいごと」と一笑に付されたこともあるが、そのきれいごとを実現するのが政治だ。おかしいと思うことは、大きな声で「おかしい」と発言し続けたい。私がやらずに誰がやる、今やらずにいつやる!そんな思いで立候補した。

【取材メモ】実家は飲食店経営。店を手伝う中、接客で天性のコミュニケーション力が磨かれた。同世代だけでなく、初対面のどんな世代にも懐深く飛び込める人懐こさが強み。
 伊勢崎に遊びに来ていた時、その人懐こさで一学年下のイケメン夫(当時)を“逆ナン”。「子供の迎えを引き受けてくれる」夫、隣家の夫の両親やママ友などにも支えられて子育て、議員活動を続けてきた。多忙な現在、ささやかな楽しみは夫が好きで一緒に出かけるラーメン店巡り。(2020年12月18日 廣瀬昭夫)

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 任期満了に伴う伊勢崎市長選(来年1月10日告示、17日投開票)は、12年ぶりの選挙戦が展開される。五十嵐清隆現市長が支援を表明し、政策継続をベースに改革も訴える元自民党県議の臂泰雄氏(67歳 豊城町)、市政の刷新を掲げる36歳の4児ママで市議の栗原真耶氏(境上武士)、政治は未経験ながら「教育と政治は同じ」の理念の基に出馬する異色の学習塾経営者、蓬沢博亮氏(38歳 太田町)。これまで市政に無関心な市民にも、興味を喚起させる政策論争が期待される。政策を中心に3立候補者に聞いた。
第1回目は蓬沢博亮氏。

― 市長選立候補に至る理由と経緯を。

蓬沢 最終的に出馬を決めたのは11月上旬。これまでの市長選の投票率の低さや2回続けて無投票できたことを市民が不満に感じないこと。政治に変化を期待した。失敗を許容し、何回でもチャレンジできる社会を、教育者として政策で実現できる、と考えたことが大きい。再チャレンジには失敗から学んだ改善が前提だ。大まかな方向性は示すが、市職員や市議にはプロとして任せることは任せ、失敗したら私が責任を取る。そんな新しいリーダー像を示したい。

― 教育の理念を政治に活かすということですか。

蓬沢 教育というのは何かあったときに時に備えるもので、何かあった時では遅い。政治も同じだと思う。実は2年前の立憲民主党の公募に応募し、「教育者と政治家の仕事は同じ」と提言した。両者の大多数が目指しているのは「支援側にとって」のより良い未来。そこに差別の温存、人権軽視、恣意的なルールの運用が見られる。弱い立場で声を出せない人々の声を聴き、他者に不利に働く既得権益を無くし、公平・公正な社会を創造したい。

― その理念実現のための具体的施策は。

蓬沢 学校の部活を全世代が集える交流の場とする“全世代部活”の実現を目指したい。例えば専門性を持たない教員が部活顧問するのではなく、卒業生など先輩世代が担い、スポーツ・文化活動の地域総合開催で、上下世代との交流も深めてもらう。生徒数が地域で偏重している学校を統廃合し、廃校校舎を全世代の交流・学びの場にも活用したい。夜間中学もひとつの選択肢だ。地元企業の応援も募って運営する、江戸時代の“藩校”的なイメージだ。

― 再チャレンジを許容し、誰もが生きやすい人間関係のあり方にも触れています。

蓬沢 性別や年齢、婚姻関係などにとらわれない新たなパートナーシップ制度の創設を考えている。一方、一人で生きることに負い目を感じさせるのではなく、孤独も尊重し「“ボッチ”もよし」のムードも醸成したい。

― 観光分野でもさまざまな施策を提言してますね。

蓬沢 三尺玉も打ち上げられる利根川河川敷を利用した境の花火大会の復活、世界遺産登録の田島弥平旧宅なども含めた周辺地域の“養蚕テーマパーク化”、QRコードを張り付けた多言語看板設置、清掃リサイクルセンター21の敷地に温泉プール設置や他運動施設を整備する“スポーツテーマ化”、市内各所の公共施設内の無料Wi-Fiスポットの充実などを考えている。

― コロナ禍の選挙戦。どのように戦いますか。

蓬沢 メディアの皆さんへのお願いです。小規模でもいいから密を避け、立候補者、高校生、記者の皆さん、市議会議員などが参加する、座談会や討論会のセッティングお願いしたい。

― これまでのキャリアと政治未経験での市長選立候補は一見、無謀とも思えますが。

蓬沢 社会の未来を創る、という点では教育と政治のスキルは同じ。やりたいから出る、ということで他人に犠牲を強いるのは本意ではない。困っている人を支えることができると思うから出る。政治に関心がないのは困ってないからだ。ただ本当の声を救い上げきれていない部分もあるはず。私が出ることで、こんな面白いやつがいるんだ、いろいろな生き方があるんだ、と市民に思ってもらえるなら本望だ。

【取材メモ】もともとは教員志望で資格は取得したものの、「大学では教える技術を学べなかった」として、スキル習得のため学習塾業界に。保育士資格、日本語能力検定試験合格。現在は建築物環境衛生管理技術者、中小企業診断士に挑むなど、自らもさまざまな再チャレンジを実践している。
東日本大震災時に現地ボランティア参加。この時、生きる上での清掃スキルの必要性を痛感した。学習塾経営の傍らに営む「そうじ部」に活かされている。好きなコミックでは、ネットアプリで読む「最果てのパラディン」を挙げた。(2021年12月16日 廣瀬昭夫)

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新型コロナ対応の大規模財政予算を説明する井野衆議院議員

「大量国債発行でも日本は財政破綻しない」
講演で国の大借金懸念を払拭 井野衆院議員(2020年7月26日)

新型コロナウィルスで「GO TOトラベルキャンペーン」など経済支援を打ち出している政府方針と、これに伴う大量国債発行に対する国民の懸念について、群馬2区選出の井野俊郎衆議院議員が7月21日、群馬中小企業家同友会伊勢崎支部例会の講師として、支援策のポイントと財政破綻 (デフォルト)は起こらない、とする背景を解説した。

財政破綻では社会保障費関連費の増大、財政規律の緩みなど、国債に頼る問題点を指摘。国債を購入する内外投資家から見放され「インフレまたは金利が高騰して制御できない状態を財政破綻」と定義。ギリシャやアルゼンチンなどの国家破綻を事例に、企業破綻のような国家の消滅には至らないとした。

国債は自国通貨建ての借金で、その残高は政府から民間への通貨供給量。そのお金はデフレで貯蓄に回っているため、政府の赤字(国債発行)は民間の黒字とし、破綻は考えにくいとする。政府はデフレ下では積極的に財政出動、景気を刺激することでインフレに移行させ、その後は国債発行を止め、増税の方向にと提言した。

講演では新型コロナウィルスの感染拡大防止による持続化給付金の対象拡大、無利子・無担保融資の大幅拡充、雇用調整助成金の上限引き上げ、家賃・休業支援金創設などのポイントを解説。その際の借金増大に伴う国民の懸念に応えた。「国家経済は破綻せず」説は一部経済学者が既に提唱しているが、まだ少数派。「自民党内の上の世代にもまだ理解を得られていない個人的な考え」とした井野議員だが、衆議院予算委員会では理事も務めるなど経済政策に精通している。
【写真】伊勢崎市の情報発信手段(市ホームページから作成)

組織的に迅速な情報発信体制の強化を図る
五十嵐清隆 伊勢崎市長に聞く2020【3】

 ― 東京オリンピック・パラリンピック開催が控えています。伊勢崎市の障害者支援(一般・スポーツ分野)の取り組みを教えて下さい。

五十嵐市長 障害者総合支援法における地域生活支援事業として、現在実施しているスポーツ・レクリエーション活動を引き続き継続していく。東京オリンピック・パラリンピックの開催が、障害の有無や年齢などに関わりなく、お互いに人格と個性を尊重し合う、共生社会の実現の契機になることを期待している。

― 市政情報の発信手段として広報誌やホームページに加え、フェイスブックやツイッター、ユーチューブ動画などの各種ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)、メールサービスなどにも力が注がれています。現状と今後の取り組み方針は。

五十嵐市長 本市では2014年6月からフェイスブックとツイッターの運用を始めている。その前年の8月から開始したのがユーチューブ。市の概要や世界遺産、暮らしや産業、観光などの紹介動画の他、慶応大学との協働動画、各種イベント動画などを楽しんでいただいている。
いせさき情報メールは、さらに先行して2011年4月からスタートしている。これはあらかじめ登録いただいた携帯電話に、いつでもどこでも24時間、情報を自動配信するサービスだ。平常時の活用の他、防犯や災害時の情報発信にも役立てている。それぞれのフォロワー数も年々増加しており、その充実を図っていきたい。今後もSNSを通じた情報発信の拡散性、速報性を活かし、より多くの市民に市政情報を迅速に届けたい。

― 昨年10月の台風19号では避難勧告発令、避難所不足など、市民にとっては予想しなかった対応を迫られました。その時の教訓と今後の避難所対策や災害情報発信などの対応について教えて下さい。

五十嵐市長 避難所対策については校舎の開放が遅れて混乱した避難所があった。今後は施設管理者と自主防災組織から現場での協力を得ることで、校舎開放などを速やかに行い、スムーズな避難者受入を行いたい。同時に避難該当地域における全ての指定避難所に加え、周辺の指定避難所も開放し、避難者の分散と収容人数の確保も図っていく。避難所の運営については、マニュアルの見直しを行う。自主防災組織や避難者の協力を得て対応したい。
 災害時の情報発信には先にふれた市ホームページ、ツイッター、フェイスブック、いせさき情報メールに適時、台風や河川水位情報を発信していく。そのために組織的に情報発信体制の強化を図っていきたい。(2020年3月13日)

伊勢崎市ツイッター
伊勢崎市フェイスブック
伊勢崎市の多様な紹介動画


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【写真】再開発が進む中心市街地に残る、まとまった広さの福島病院跡地

民間活力導入も検討 福島病院跡地活用
五十嵐清隆 伊勢崎市長に聞く2020【2】

― さまざまな施策の計画策定にあたり、市民の声を聞き、要望を取り入れるパブリックコメント(意見公募手続)が数多く実施されています。これまでの施策のパブリックコメントなどの反応と、要望受け入れなどの実績があれば教えて下さい。

五十嵐市長 2019年度のパブリックコメントの実施状況は、2020年1月15日現在、22件を実施している。このうち意見の取りまとめが修了した6件からは、4件のご意見をいただいている。各種施策に対し、ご意見をいただくことは、市民参加条例の目的である「伊勢崎市がゆたかで活力のあるまちとして発展する」ことに寄与していると考えている。今後も広く意見を募集し、積極的に取り入れていきたい。

― 施設維持計画実施にあたり、PFI(公共施設等の建設・維持管理・運営等を民間資金や経営ノウハウを活用する事業手法)やPPP(民間資金・ノウハウを活用し、公共サービスの充実を図る事業手法)などの導入も検討にあがっています。導入の際の方針は。

五十嵐市長 施設の設置目的や性質によるが、厳しい財政状況の中では、PFIやPPP事業の活用は有効な手段と認識している。施設所管課ごとに個別施設管理計画がパブリックコメント手続き経て策定していく中で、各施設のあり方や運営方法によっては、市単独で施設整備を行う従来型手法だけではなく、民間活力導入も検討していきたい。

― 伊勢崎駅周辺整備事業の来年度の進展、市街地活性化に向けて関心が高まっている福島病院の移転跡地の活用についてお聞かせ下さい。

五十嵐市長 伊勢崎駅周辺整備事業については、今後も伊勢崎駅南口線(シンボルロード)及び足利通りの幹線道路を中心に整備を進めていく。中心市街地でもまとまった福島病院跡地については、波及効果など総合的観点から民間活力の導入も含めた手法や有効活用の検討を進めていきたい。

 企業誘致課に産業団地推進係を新設

― 宮郷工業団地が完売しました。続く工業団地として「境北部工業団地周辺区域」、「南部工業団地周辺地区」を候補地とする構想が浮上しています。

五十嵐市長 伊勢崎宮郷工業団地は、分譲開始から5年を待たず昨年10月に完売している。市内企業4社、県外企業8社の誘致で、バランスのとれた産業団地が誕生した。これにより市内の公的産業団地は在庫が底をつき、新たな産業団地造成に向けて今後、県や関係機関との調整を進めていく。また施策をより強力に推進していくため、新年度の組織改革で、企業誘致課内に産業団地推進係を新設した。(2020年3月3日)
  

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【写真】元気な姿を見せた五十嵐伊勢崎市長

5重点政策推進 子育て環境も より充実へ
五十嵐清隆 伊勢崎市長に聞く2020【1】

 伊勢崎市の市政運営政策はここ数年、「福祉・医療」「地域経済」「安全・安心」「教育・スポーツ・文化」「行財政改革」の5重点政策を掲げ、バランス良く取り組んできた。市の新年度予算案も発表され、継続・推進を強調し、中でも子育て環境の充実には優先的に取り組んでいる。大腸腫瘍治療で入院していたが、退院し公務に復帰した五十嵐清隆市長に、新年度の取り組みやその方向性を聞いた。

― 当初予定より退院が長引いたので市民も心配していると思いますが、その後体調はいかがですか。

五十嵐市長 市民の皆様には大変ご心配をおかけしたが、お蔭様で順調に回復し、2月17日から公務に
復帰している。今後も市政の発展のために努めてまいりますので、よろしくお願いたします。
 
― 5重点施策をバランスよく執行して行くために今後も「行財政改革」が求められます。2019年度に、より手応えを感じた取り組みと、来年度に向けて力を注いでいきたい取り組みは。

五十嵐市長 行財政改革で個別の例をあげると、昨年10月から導入した聖苑(いせさき、さかい)予約管理システムがある。これまで市民課、施設への電話や直接出向いての予約が、市のホームページから空き状況を確認して簡単に予約できる。今年1月から開始した前橋・高崎市との3市共同システム(次期基幹情報システム構築事業)は、住民基本台帳など事務の標準化で、業務の効率化と市民サービスの向上を図っている。新年度も引き続き5重点政策を掲げ、着実に推進することで、未来に向かって元気であり続ける伊勢崎市目指したいと考えている。

― 各種の子育て支援は昨年、第3子以降出産祝い金問題などで市民の関心を集めました。新年度の対応は。

五十嵐市長 第3子以降の出産祝金については、市民の皆様の要望が大きいことを確認出来たので新年度も継続していく。なお今後の子育て支援策については、子育てを取り巻く環境の変化や財政状況を勘案し、限りある予算の中で、より効果の望める支援策を総合的に検討していきたい。

― 公共施設の維持について継続、統廃合を決めた個別計画策定が進んでいます。一方で、施設を通して提供する公共サービスの充実など、ソフト面ではどのような取り組みを。

五十嵐市長 さまざまな施設の現状の機能を実質的に確保することを目指している。同時に社会情勢や市民ニーズの変化を見据えて、公共施設の安定的な管理運営を推進し、行政サービスの維持・向上を図っていきたい。(2020年2月22日)

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【写真】市民に協力を呼びかけたチラシと小暮伊勢崎市議

最大会派内で修正に動いた小暮市議に聞く
「出産祝金廃止条例案」急転の舞台裏【3】

 伊勢崎市議会3月定例会の新年度予算審議「第3子以降の出産祝金廃止条例案」。告知や経過措置問題を指摘する声を尻目に、市議会は最大会派の伊勢崎クラブ(原田和行会長)の意向を受けて廃案可決に動いた。同クラブに所属しながら、クラブ内で修正動議に向けて声を挙げた小暮笑鯉子伊勢崎市議に聞いた。

―― 2月13日の市議会議員運営委員会で浮上した「第3子以降の出産祝金廃止条例案」。どのように受け止めましたか。

小暮市議 「何?これ」と、思うと同時に涙がジワ〜と込み上げてきた。私自身、既に2回もこの祝い金を受けている身。4月以降に出産予定の知り合いもおり、祝い金が唐突に無くなることの弊害は大きいと感じた。すぐにクラブ内で「このまま通ったら大変なことになる」と、同期・1期生議員を中心に個別に声を掛けた。心情的には理解してもらえたものの、クラブの多数決決定の前では修正への動きは鈍く、原田会長には直接事務所を訪問するなどして何度もかけあった。

「伊勢崎クラブの総意で修正案を」

―― 2月22日開催の本会議の質疑では、伊勢崎クラブの栗原麻耶市議、共産党の長谷田公子市議、一人会派だった堀地和子市議3人が、同一議案で登壇しました。

小暮市議 当初は私も質問する予定だったが、会派内の諸事情で栗原議員に託した。十分な告知期間や経過措置については、執行側としても熟慮の提案であったと思うが、回答はいずれも「必要なし」と素っ気なかった。他の自治体を調べたら、こうした場合は一定の告知期間を設けており、市の対応にはどうしても納得がいかなかった。

―― 付託議案として採択を求められた、自身が委員長も務める文教福祉委員会(委員長は後日辞任)が3月7日に開かれ、廃案が可決されました。

小暮市議 委員会前のクラブの話し合いで、修正案を主張したが多数決で押し切られ、委員会では議決に加われない委員長として廃案の可決に臨んだ。クラブの総意としての祝い金廃案修正に望みがなくなりつつある中で、既に修正動議提出に動いていた堀地市議に相談すると「一緒に」と誘われた。
周囲からは「大人の対応を」と、たしなめられたが、修正動議提出期限の迫る中、クラブ退会を決意し、5人が署名した修正動議提出に加わった。並行して関係者や多くの市民に訴え続けると同時に、フェイスブックにも投稿を続け、民意を身近に感じた。

 「自分は何のために議員になったのか」

―― クラブの総意に反する行動からクラブ退会へ。その一連の行動とSNS(交流を促すコミュニティ型Webサイト)も含めた発信力が、これまで多数決原理で揺るがなかった最大会派の岩盤を突き動かす一因にもなったのでは。最大会派に所属するメリットは決して少なくなかったはずですが。

小暮市議 初心に戻って考え、悩んだ。自分は何のために議員になったのか。同じ悩みを持つ女性たちに、何かできる立場にいながら、保身のために、こんな理不尽なことを見過ごしていいのかと。
これからも市民が何をどのように考えているのか、しっかりと民意をすくい上げて、伊勢崎市に何が本当に必要なのかを考えていきたい。クラブを退会し一人会派にはなったが、今後も信念と覚悟を持って、議員活動に取り組みたい。子どもたちに希望が持てる未来を残すためにも。(2019年7月16日)
【写真】堀地伊勢崎市議と市議5人が署名した修正動議

周知と経過措置求めて修正に動いた堀地市議に聞く
「出産祝金廃止条例案」急転の舞台裏【2】

伊勢崎市議会3月定例会の新年度予算審議で「第3子以降の出産祝金10万円廃止案」に対し、あまりにも性急として周知徹底や経過措置の必要性を求めて修正へ、声をあげた堀地和子伊勢崎市議に聞いた。

―― 2月13日の議員運営委員会で突如として議案が浮上。委員会質疑を経て3月7日に所管の文教福祉委員会で可決されるなど、最大会派の伊勢崎クラブの意向により、粛々と廃案可決に動いた伊勢崎市議会。多数決原理の民主政治の中、あえて声を挙げたのは。

     質疑で納得の回答得られず「この議案をこのまま通しては」

堀地市議 多数決原理からいけば仕方のないこととわかっていたが、廃止するにしてはあまりに周知期間が短く経過措置も講じられていないことから、まずは議運の質疑で執行の考えを聞いた。同議題で栗原麻耶さん、小暮笑鯉子さんも質問に立ったが、執行から納得のいく回答を得られず、このまま議案を通してはいけないと、修正動議提出に動き出した。

―― 最初の関所となる議員運営委員会(2人会派以上の市議で構成)は、一人会派のため席を持てず、情報収集という点でも歯がゆい思いをした。これが高橋宜隆市議との2人会派「有志会」(5月10日発足)に繋がった。

堀地市議 まずはその高橋市議の賛同を得、さらに周辺議員に声を掛けた。会派を問わず、議案にショックを受けて対応に悩む女性市議と接触し、修正動議に協力を求めた。その結果、修正動議署名には5人、修正動議採決には6人の賛同者を得た。議員への声掛けと並行して自身の支援者や市民にも状況を説明し、修正動議に理解を求めた。幸いにも年度末。関係する諸団体のさまざまな会合など、ありとあらゆる場所を通じて訴えた。

―― 出産祝金廃止案の修正動議否決後に、廃止案に賛成だった伊勢崎クラブの唐突な廃止案反対、という想定外の結果をもたらした要因についてはどのように考えますか。

     民意よりも会派の都合が優先された

堀地市議 伊勢崎クラブ内には、いつになく様々な意見が噴出し、若手などは「修正案で良いのでは」という声もあったと聞いている。それぞれの議員を支える支援者の声や議員の考え方を尊重すれば、自主投票でもおかしくなかったはず。市民の民意と言うより、会派事情、会派の都合が優先された結果ではと受け止めている。

―― 出産祝金が20年度まで2ヵ年継続、この問題については市民から計9件の意見が寄せられました。廃止案修正動議の否決から廃止までの市議会の一連の顛末を振り返って。

堀地市議 市民の声は、3月15日に上毛新聞で「廃止へ」と報道されてから19日本会議採決までのわずかな期間にしては反応があったと思う。伊勢崎市では各種施策実施前のパブリックコメント(意見公募手続制度)など、十分な周知期間にもかかわらず1、2件ということも少なくない。
出産祝金は財政規律の面からもあのまま存続させるのではなく、執行が表明したように子育て支援全体を見直す中で検討する必要があると思う。今後は執行に全てお任せではなく、議員個人や会派というより、議会として大所高所からこれらの問題に取り組むことが重要だと感じている。
一方、真の民意を受け止めたら、議員はいざとなれば会派としてではなく、議員個人としての意見、意志を貫きたい。一人ひとりが“サムライ”として行動し、いかなる決断であっても説明責任が伴うことも自覚したい。(2019年7月4日)

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