【行政/議会】伊勢崎市政や群馬県政、市議会や県議会、選挙などの伊勢崎に係る?話題を取り上げ、まちづくりを中心に行政の多様な取り組を紹介していきます。情報はinfo@press-isesaki.com
【写真】伊勢崎市の情報発信手段(市ホームページから作成)

組織的に迅速な情報発信体制の強化を図る
五十嵐清隆 伊勢崎市長に聞く2020【3】

 ― 東京オリンピック・パラリンピック開催が控えています。伊勢崎市の障害者支援(一般・スポーツ分野)の取り組みを教えて下さい。

五十嵐市長 障害者総合支援法における地域生活支援事業として、現在実施しているスポーツ・レクリエーション活動を引き続き継続していく。東京オリンピック・パラリンピックの開催が、障害の有無や年齢などに関わりなく、お互いに人格と個性を尊重し合う、共生社会の実現の契機になることを期待している。

― 市政情報の発信手段として広報誌やホームページに加え、フェイスブックやツイッター、ユーチューブ動画などの各種ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)、メールサービスなどにも力が注がれています。現状と今後の取り組み方針は。

五十嵐市長 本市では2014年6月からフェイスブックとツイッターの運用を始めている。その前年の8月から開始したのがユーチューブ。市の概要や世界遺産、暮らしや産業、観光などの紹介動画の他、慶応大学との協働動画、各種イベント動画などを楽しんでいただいている。
いせさき情報メールは、さらに先行して2011年4月からスタートしている。これはあらかじめ登録いただいた携帯電話に、いつでもどこでも24時間、情報を自動配信するサービスだ。平常時の活用の他、防犯や災害時の情報発信にも役立てている。それぞれのフォロワー数も年々増加しており、その充実を図っていきたい。今後もSNSを通じた情報発信の拡散性、速報性を活かし、より多くの市民に市政情報を迅速に届けたい。

― 昨年10月の台風19号では避難勧告発令、避難所不足など、市民にとっては予想しなかった対応を迫られました。その時の教訓と今後の避難所対策や災害情報発信などの対応について教えて下さい。

五十嵐市長 避難所対策については校舎の開放が遅れて混乱した避難所があった。今後は施設管理者と自主防災組織から現場での協力を得ることで、校舎開放などを速やかに行い、スムーズな避難者受入を行いたい。同時に避難該当地域における全ての指定避難所に加え、周辺の指定避難所も開放し、避難者の分散と収容人数の確保も図っていく。避難所の運営については、マニュアルの見直しを行う。自主防災組織や避難者の協力を得て対応したい。
 災害時の情報発信には先にふれた市ホームページ、ツイッター、フェイスブック、いせさき情報メールに適時、台風や河川水位情報を発信していく。そのために組織的に情報発信体制の強化を図っていきたい。(2020年3月13日)

伊勢崎市ツイッター
伊勢崎市フェイスブック
伊勢崎市の多様な紹介動画


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【写真】再開発が進む中心市街地に残る、まとまった広さの福島病院跡地

民間活力導入も検討 福島病院跡地活用
五十嵐清隆 伊勢崎市長に聞く2020【2】

― さまざまな施策の計画策定にあたり、市民の声を聞き、要望を取り入れるパブリックコメント(意見公募手続)が数多く実施されています。これまでの施策のパブリックコメントなどの反応と、要望受け入れなどの実績があれば教えて下さい。

五十嵐市長 2019年度のパブリックコメントの実施状況は、2020年1月15日現在、22件を実施している。このうち意見の取りまとめが修了した6件からは、4件のご意見をいただいている。各種施策に対し、ご意見をいただくことは、市民参加条例の目的である「伊勢崎市がゆたかで活力のあるまちとして発展する」ことに寄与していると考えている。今後も広く意見を募集し、積極的に取り入れていきたい。

― 施設維持計画実施にあたり、PFI(公共施設等の建設・維持管理・運営等を民間資金や経営ノウハウを活用する事業手法)やPPP(民間資金・ノウハウを活用し、公共サービスの充実を図る事業手法)などの導入も検討にあがっています。導入の際の方針は。

五十嵐市長 施設の設置目的や性質によるが、厳しい財政状況の中では、PFIやPPP事業の活用は有効な手段と認識している。施設所管課ごとに個別施設管理計画がパブリックコメント手続き経て策定していく中で、各施設のあり方や運営方法によっては、市単独で施設整備を行う従来型手法だけではなく、民間活力導入も検討していきたい。

― 伊勢崎駅周辺整備事業の来年度の進展、市街地活性化に向けて関心が高まっている福島病院の移転跡地の活用についてお聞かせ下さい。

五十嵐市長 伊勢崎駅周辺整備事業については、今後も伊勢崎駅南口線(シンボルロード)及び足利通りの幹線道路を中心に整備を進めていく。中心市街地でもまとまった福島病院跡地については、波及効果など総合的観点から民間活力の導入も含めた手法や有効活用の検討を進めていきたい。

 企業誘致課に産業団地推進係を新設

― 宮郷工業団地が完売しました。続く工業団地として「境北部工業団地周辺区域」、「南部工業団地周辺地区」を候補地とする構想が浮上しています。

五十嵐市長 伊勢崎宮郷工業団地は、分譲開始から5年を待たず昨年10月に完売している。市内企業4社、県外企業8社の誘致で、バランスのとれた産業団地が誕生した。これにより市内の公的産業団地は在庫が底をつき、新たな産業団地造成に向けて今後、県や関係機関との調整を進めていく。また施策をより強力に推進していくため、新年度の組織改革で、企業誘致課内に産業団地推進係を新設した。(2020年3月3日)
  

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【写真】元気な姿を見せた五十嵐伊勢崎市長

5重点政策推進 子育て環境も より充実へ
五十嵐清隆 伊勢崎市長に聞く2020【1】

 伊勢崎市の市政運営政策はここ数年、「福祉・医療」「地域経済」「安全・安心」「教育・スポーツ・文化」「行財政改革」の5重点政策を掲げ、バランス良く取り組んできた。市の新年度予算案も発表され、継続・推進を強調し、中でも子育て環境の充実には優先的に取り組んでいる。大腸腫瘍治療で入院していたが、退院し公務に復帰した五十嵐清隆市長に、新年度の取り組みやその方向性を聞いた。

― 当初予定より退院が長引いたので市民も心配していると思いますが、その後体調はいかがですか。

五十嵐市長 市民の皆様には大変ご心配をおかけしたが、お蔭様で順調に回復し、2月17日から公務に
復帰している。今後も市政の発展のために努めてまいりますので、よろしくお願いたします。
 
― 5重点施策をバランスよく執行して行くために今後も「行財政改革」が求められます。2019年度に、より手応えを感じた取り組みと、来年度に向けて力を注いでいきたい取り組みは。

五十嵐市長 行財政改革で個別の例をあげると、昨年10月から導入した聖苑(いせさき、さかい)予約管理システムがある。これまで市民課、施設への電話や直接出向いての予約が、市のホームページから空き状況を確認して簡単に予約できる。今年1月から開始した前橋・高崎市との3市共同システム(次期基幹情報システム構築事業)は、住民基本台帳など事務の標準化で、業務の効率化と市民サービスの向上を図っている。新年度も引き続き5重点政策を掲げ、着実に推進することで、未来に向かって元気であり続ける伊勢崎市目指したいと考えている。

― 各種の子育て支援は昨年、第3子以降出産祝い金問題などで市民の関心を集めました。新年度の対応は。

五十嵐市長 第3子以降の出産祝金については、市民の皆様の要望が大きいことを確認出来たので新年度も継続していく。なお今後の子育て支援策については、子育てを取り巻く環境の変化や財政状況を勘案し、限りある予算の中で、より効果の望める支援策を総合的に検討していきたい。

― 公共施設の維持について継続、統廃合を決めた個別計画策定が進んでいます。一方で、施設を通して提供する公共サービスの充実など、ソフト面ではどのような取り組みを。

五十嵐市長 さまざまな施設の現状の機能を実質的に確保することを目指している。同時に社会情勢や市民ニーズの変化を見据えて、公共施設の安定的な管理運営を推進し、行政サービスの維持・向上を図っていきたい。(2020年2月22日)

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【写真】市民に協力を呼びかけたチラシと小暮伊勢崎市議

最大会派内で修正に動いた小暮市議に聞く
「出産祝金廃止条例案」急転の舞台裏【3】

 伊勢崎市議会3月定例会の新年度予算審議「第3子以降の出産祝金廃止条例案」。告知や経過措置問題を指摘する声を尻目に、市議会は最大会派の伊勢崎クラブ(原田和行会長)の意向を受けて廃案可決に動いた。同クラブに所属しながら、クラブ内で修正動議に向けて声を挙げた小暮笑鯉子伊勢崎市議に聞いた。

―― 2月13日の市議会議員運営委員会で浮上した「第3子以降の出産祝金廃止条例案」。どのように受け止めましたか。

小暮市議 「何?これ」と、思うと同時に涙がジワ〜と込み上げてきた。私自身、既に2回もこの祝い金を受けている身。4月以降に出産予定の知り合いもおり、祝い金が唐突に無くなることの弊害は大きいと感じた。すぐにクラブ内で「このまま通ったら大変なことになる」と、同期・1期生議員を中心に個別に声を掛けた。心情的には理解してもらえたものの、クラブの多数決決定の前では修正への動きは鈍く、原田会長には直接事務所を訪問するなどして何度もかけあった。

「伊勢崎クラブの総意で修正案を」

―― 2月22日開催の本会議の質疑では、伊勢崎クラブの栗原麻耶市議、共産党の長谷田公子市議、一人会派だった堀地和子市議3人が、同一議案で登壇しました。

小暮市議 当初は私も質問する予定だったが、会派内の諸事情で栗原議員に託した。十分な告知期間や経過措置については、執行側としても熟慮の提案であったと思うが、回答はいずれも「必要なし」と素っ気なかった。他の自治体を調べたら、こうした場合は一定の告知期間を設けており、市の対応にはどうしても納得がいかなかった。

―― 付託議案として採択を求められた、自身が委員長も務める文教福祉委員会(委員長は後日辞任)が3月7日に開かれ、廃案が可決されました。

小暮市議 委員会前のクラブの話し合いで、修正案を主張したが多数決で押し切られ、委員会では議決に加われない委員長として廃案の可決に臨んだ。クラブの総意としての祝い金廃案修正に望みがなくなりつつある中で、既に修正動議提出に動いていた堀地市議に相談すると「一緒に」と誘われた。
周囲からは「大人の対応を」と、たしなめられたが、修正動議提出期限の迫る中、クラブ退会を決意し、5人が署名した修正動議提出に加わった。並行して関係者や多くの市民に訴え続けると同時に、フェイスブックにも投稿を続け、民意を身近に感じた。

 「自分は何のために議員になったのか」

―― クラブの総意に反する行動からクラブ退会へ。その一連の行動とSNS(交流を促すコミュニティ型Webサイト)も含めた発信力が、これまで多数決原理で揺るがなかった最大会派の岩盤を突き動かす一因にもなったのでは。最大会派に所属するメリットは決して少なくなかったはずですが。

小暮市議 初心に戻って考え、悩んだ。自分は何のために議員になったのか。同じ悩みを持つ女性たちに、何かできる立場にいながら、保身のために、こんな理不尽なことを見過ごしていいのかと。
これからも市民が何をどのように考えているのか、しっかりと民意をすくい上げて、伊勢崎市に何が本当に必要なのかを考えていきたい。クラブを退会し一人会派にはなったが、今後も信念と覚悟を持って、議員活動に取り組みたい。子どもたちに希望が持てる未来を残すためにも。(2019年7月16日)
【写真】堀地伊勢崎市議と市議5人が署名した修正動議

周知と経過措置求めて修正に動いた堀地市議に聞く
「出産祝金廃止条例案」急転の舞台裏【2】

伊勢崎市議会3月定例会の新年度予算審議で「第3子以降の出産祝金10万円廃止案」に対し、あまりにも性急として周知徹底や経過措置の必要性を求めて修正へ、声をあげた堀地和子伊勢崎市議に聞いた。

―― 2月13日の議員運営委員会で突如として議案が浮上。委員会質疑を経て3月7日に所管の文教福祉委員会で可決されるなど、最大会派の伊勢崎クラブの意向により、粛々と廃案可決に動いた伊勢崎市議会。多数決原理の民主政治の中、あえて声を挙げたのは。

     質疑で納得の回答得られず「この議案をこのまま通しては」

堀地市議 多数決原理からいけば仕方のないこととわかっていたが、廃止するにしてはあまりに周知期間が短く経過措置も講じられていないことから、まずは議運の質疑で執行の考えを聞いた。同議題で栗原麻耶さん、小暮笑鯉子さんも質問に立ったが、執行から納得のいく回答を得られず、このまま議案を通してはいけないと、修正動議提出に動き出した。

―― 最初の関所となる議員運営委員会(2人会派以上の市議で構成)は、一人会派のため席を持てず、情報収集という点でも歯がゆい思いをした。これが高橋宜隆市議との2人会派「有志会」(5月10日発足)に繋がった。

堀地市議 まずはその高橋市議の賛同を得、さらに周辺議員に声を掛けた。会派を問わず、議案にショックを受けて対応に悩む女性市議と接触し、修正動議に協力を求めた。その結果、修正動議署名には5人、修正動議採決には6人の賛同者を得た。議員への声掛けと並行して自身の支援者や市民にも状況を説明し、修正動議に理解を求めた。幸いにも年度末。関係する諸団体のさまざまな会合など、ありとあらゆる場所を通じて訴えた。

―― 出産祝金廃止案の修正動議否決後に、廃止案に賛成だった伊勢崎クラブの唐突な廃止案反対、という想定外の結果をもたらした要因についてはどのように考えますか。

     民意よりも会派の都合が優先された

堀地市議 伊勢崎クラブ内には、いつになく様々な意見が噴出し、若手などは「修正案で良いのでは」という声もあったと聞いている。それぞれの議員を支える支援者の声や議員の考え方を尊重すれば、自主投票でもおかしくなかったはず。市民の民意と言うより、会派事情、会派の都合が優先された結果ではと受け止めている。

―― 出産祝金が20年度まで2ヵ年継続、この問題については市民から計9件の意見が寄せられました。廃止案修正動議の否決から廃止までの市議会の一連の顛末を振り返って。

堀地市議 市民の声は、3月15日に上毛新聞で「廃止へ」と報道されてから19日本会議採決までのわずかな期間にしては反応があったと思う。伊勢崎市では各種施策実施前のパブリックコメント(意見公募手続制度)など、十分な周知期間にもかかわらず1、2件ということも少なくない。
出産祝金は財政規律の面からもあのまま存続させるのではなく、執行が表明したように子育て支援全体を見直す中で検討する必要があると思う。今後は執行に全てお任せではなく、議員個人や会派というより、議会として大所高所からこれらの問題に取り組むことが重要だと感じている。
一方、真の民意を受け止めたら、議員はいざとなれば会派としてではなく、議員個人としての意見、意志を貫きたい。一人ひとりが“サムライ”として行動し、いかなる決断であっても説明責任が伴うことも自覚したい。(2019年7月4日)

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【写真】3月19日開催の市議会定例会。修正動議を発議する田村市議

女性市議はその時どう動いたか
「出産祝金廃止条例案」急転の舞台裏【1】(2019年6月25日)

 伊勢崎市議会定例会の3月本会議の新年度予算案で、議決前夜まで賛成多数で可決が見込まれていた「第3子以降出産祝金廃止条例案」。一人会派を中心とする市議5人が、周知期間不足と経過措置を求める修正動議提出のなか、民意を受けたとして定数の過半数を占める最大会派、伊勢崎クラブ(原田和行会長)が、一夜にして否決に転じて継続が決まった。

 伊勢崎市は6月18日の市議会本会議で出産祝金継続は20年までの2ヵ年、以降は子育て支援策の総合的検討で、支給額を含め判断する、と改めてその方向性を打ち出した。否決は問題の単なる先送りだったのか。真の民意はどこにあったのか。急転の舞台裏で議会制民主主義のダイナミズムと危うさを垣間見せた伊勢崎市議会の動きを追った。

 年200人〜300人が受給しているという伊勢崎市の出産祝金。第3子以降の出産に対し、新生児一人に10万円を支給しているが、新たな学校給食費一部補助の予算化やその他の子育て支援を総合的に勘案し、3月末での廃止を決めた。この条例案を上程したのが2月19日の本会議。一人会派(当時)の堀地市議が、周知期間のあまりの短さと、これを補う経過措置を求めて、賛同が見込まれる市議らに修正動議提出を呼びかけた。

  前代未聞の「委員会で可決、本会議で否決」

 本会議の円滑な審議に向けて事前の予備調査的審議を担う、所管の文教福祉委員会開催は3月7日。廃止案の経過措置など修正を考えていた伊勢崎クラブ所属の小暮笑鯉子市議だったが、皮肉にも同委員長を務めていた。会派の意向を受けた委員会運営の中で可決を余儀なくされたため、委員長を辞任。会派も離脱後の3月14日、田村幸一・堀地和子・森田修・高橋宜隆市議らの修正動議提出の署名に名を連ねた。

 3月19日の伊勢崎市議会定例会本会議の出産祝金廃止条例案審議。修正動議否決後の廃止案採決で、議場には拍子抜けしたようなわずかなどよめきが広がった。廃止案の採決に賛成起立したのが、一人会派のわずか2人だったからだ。伊勢崎クラブが前夜、幹部などへの電話による根回しと本会議当日の早朝の集まりで、会派の否決を慌しく確認した。委員会審議の可決原案が、本会議で否決されるというのは前代未聞の事態だった。

 「伊勢崎クラブはイエスマンではない」

 原田会長は「批判の声が高まってきたことを受け止めた。急だったこと、会派の中には様々な意見もあり議論したが、最終的には私の考えに同調してもらった。会派がイエスマンといわれることもあるが『ダメなものはダメ』という姿勢は評価を受けたはず」と胸を張る。小暮市義の会派離脱や修正動議参加については答えなかった。

 周知期間不足と経過措置の必要性から、修正動議署名に加わらなかったものの、修正動議には参加した一人会派の伊藤純子市議は「出産祝金はその子供たちの将来につけをまわすようなもの。本来なら廃止すべき」と持論を力説する。伊勢崎クラブ所属の栗原麻耶市議は、自身が4人目を4月下旬に出産した当事者。議案を目にした時のショックは大きかったが「公平に多くの市民が安心できる子育て環境の充実を」と会派の意向に沿い、採決当日朝まで廃案の賛成討論を予定していた。共産党の長谷田公子市議は「子育て支援の後退、施策決定過程が不明瞭」など、党として明確に反対した。田部井美晴市議が所属する公明党は、採決時に反対が明らかになった。

 伊勢崎市議会定例会の6月18日開催本会議の高橋市議の質問で、出産祝金廃止条例案の今後の方針に加えて、条例案に対する市民の意見も明らかになった。否決前の意見は「継続か否かの問い合わせ」と「継続要望」が各3件、「不妊治療補助振り替え」1件の計7件だった。このうち2人が市民への周知期間が短いことも指摘していた。否決後は「継続か否かの問い合わせ」2件に留まった。

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【写真】大規模改修工事中の伊勢崎市文化会館

大規模改修後の文化会館に市民ギャラリー
五十嵐清隆 伊勢崎市長に聞く 2019【3】
 
―― 5重点政策のひとつ「教育・スポーツ文化」では、伊勢崎市文化会館が大規模改修中ですね。

五十嵐市長 利用開始は来年4月となる。耐震化に伴う改修工事により1年半近く閉館することで、市民の皆さまには大変ご不便をおかけしている。建物は築35年を迎えるが、改修後も35年間は大きな震災にも耐えられる造りにして「安全・安心」に最大限配慮する一方、市民の要望による市民ギャラリーを開設する。もともと結婚式場として計画され、その後倉庫として利用していた3階の150平方メートルのスペースを活用する。

―― 美術関係団体などからは単独の美術館建設の要望もあります。

五十嵐市長 市所蔵の作品もあり、また市内には絵画、書、写真など熱心に活動している団体も多いので、将来的にはそうした要望に応えていかなければいけないと考えている。ただ限られた財政の中では、取り組むべき優先順位も自ずと絞られてくる。経済基盤を着実に整え、地域経済の好循環を促すことで市の財政力をより高めていきたい。

―― 地元選出の井野俊郎衆議院議員が、県内にサッカースタジアムの建設を呼びかけています。五十嵐市長もかつて、前橋市と伊勢崎市にまたがる多田山工業団地内に同様の誘致を検討していたことがありましたが。

五十嵐市長 もし造るとなれば市営と言うわけにはいかない。県営を誘致することになるが、群馬県も高崎競馬場跡地のコンベンション施設建設などで、今はそのような機運はない。ただ、現在の前橋市内のサッカー場が、いつまでも陸上競技場と併設というわけにもいかず、いずれ専用スタジアムが必要になる時がくるはず。その際に建設地を伊勢崎に指定してもらえれば、提案できる適地は市内に十分あると思っている。

―― 国は昨年12月、人口の東京一極集中を是正し、地域経済や住民生活を支える「中枢中核都市」82市を選び、伊勢崎市も仲間入りしました。

五十嵐市長 伊勢崎市が人口の減らない発展の可能性があることを、国も認めてくれたという事だと思う。東京圏の人が伊勢崎に移り住んでもらえる職場確保や住宅環境の整備も推進したい。宮郷工業団地周辺の田中町では、既存道路改良などで転入者の受け皿にもなる住宅地の整備を始めている。平成27年度に「伊勢崎市まち・ひと・しごと創生総合戦略」を策定した。戦略に基づき、ここで生まれ育った子供たちが、例え一時まちを離れても再びこの地に戻り、次の世代を育てていくという好循環を築くことで、いつまでも人口が減らない、元気な都市を目指したい。(2020年2月17日)


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【写真】残り1区画となった宮郷工業団地

「シンボルロード最優先に」駅南第一土地区画整理
五十嵐清隆 伊勢崎市長に聞く 2019【2】

 
―― 「人口の減らない元気なまち」を掲げている伊勢崎市。安定的な生活基盤を築くために、雇用確保が求められているなか、約60ヘクタールの伊勢崎宮郷工業団地(田中町他)分譲が好調ですが、新たな工業団地造成が急務となっています。事業化を進めている2ヵ所の新工業団地計画について今後の見通しは。

五十嵐市長 宮郷工業団地はアクセスの他、利便性が非常に好評を得ており、未分譲は残り1区画(6・6ヘクタール)まできている。これに続く新産業団地として、伊勢崎南部工業団地周辺区域、境北部工業団地周辺区域を候補地として計画している。南部工業団地周辺は今ある工業団地の周辺で、ひとつにまとまってというより、周辺に分散する可能性もある。これまで国や群馬県企業局と事業化に向けた協議を進めており、これに基づいて今後、地権者の意向調査や土地調査などを始める。5、6年後に分譲開始にもっていければと考えている。

―― 区画整理事業による伊勢崎駅周辺再開発では、南北の駅前広場や駅南口の公園「大手町パティオ」が整備されました。事業もいよいよ佳境に入っています。


五十嵐市長 今後の整備では伊勢崎駅の南に接する第一土地区画整理事業の幹線道路・駅南口線を最優先に取り組んでいきたい。これはベイシアさんから織物会館に抜ける、いわゆるシンボルロードと呼んでいる幅広道路。現状の狭い道では朝夕、高校生の自転車通学に危険が及んでいることもあり、とにかく整備を急ぎたい。とはいえ国の補助が年々削減され、財源確保が非常に厳しい。計画の見直しによる変更で、事業費は3分の2、工期も短縮することで事業継続が可能になっている。

―― 第一土地区画整理地内にあり、中心市街地の活性化という面からも、鹿島町に移転した福島病院跡地の活用に市民の関心が高まっています。

五十嵐市長 区画整理地内の福島病院跡地は、区画整理事業の換地用地として確保していたもので、来年度にはその換地計画が固まる。その時点で、そこに移転したいという地権者がいなければ、換地以外の新たな活用方法を検討することになる。(2019年2月13日)
                           
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