
【写真】左端白壁の土蔵建物が相川考古館事務所、中央建物は解体し更地に。右端が改装する空き店舗(中沢肉店)
東武線新伊勢崎駅から西に向かった突き当たりを南北に走る西町通り。この結節点に立地する相川考古館(伊勢崎市三光町 相川裕保館長)は、取得した北側隣地の空き店舗をリノベーション(改装)し、年内を目途に地域住民が集うコミュニティースペースを開設する。町屋だった空き店舗が、当時の雰囲気をまとって蘇る。江戸時代の土蔵店舗(考古館事務所)と改装空き店舗間の相川家空き店舗の解体で、西奥2階建て蔵造りの考古資料展示室が西町通りから視界に入る。このためこの一角の風景が様変わりする。同館では解体や空き店舗改修費の一部に充てるため、5月8日までクラウドファンディング(CF)を募っている。
空き店舗は同人誌「伊勢崎文学」の創刊メンバーで代表も務めた、故中澤響二さんが精肉店を営んでいた。閉店後の2022年、考古館に打診があり「歴史や文化を発信して中心街の活性化に」(相川館長)、と土地建物を譲り受けた。店舗は2階建て延べ床面積は約120平方m。土地は間口が約6.4m、奥行き約40mと町屋特有の"うなぎの寝床" 形状。建物は明治期に穀屋、昭和期に肉屋として利用されるなど、伊勢崎の街中では町屋の雰囲気を残す数少ない建物だ。

【写真】改装する空き店舗内。かつての居住空間はコミュニティスペースに改装

【写真】改装空き店舗から望む、見通しの良い新伊勢崎駅方面
改装は西側正面の下屋2階の看板建築を取り外し、現状の窓に格子窓を取り付ける。1階は両側に雨戸を設け、残る開口部は腰板のアルミガラス戸に入れ替える。壁は漆喰塗りを計画。西側壁は防火サイディングの下見板張りとするなど、昭和レトロの雰囲気を施す。1階の住まいには、二十四畳の板張りの多目的コミュニティースペースを設ける。店舗西側奥には給湯室などを配置する。考古館内のイベント開催が手狭だったことにも対応する。
伊勢崎市内の中心街は、区画整理事業を中心とした駅周辺総合開発事業が進行中。かつての街並はほとんど失われ、本町通りも整備後の街並しか見ることが出来ない。相川館長は「中心市街地は1965年以前の建物が少ない」と指摘する。こうした中で西町通りだけは区画整理も行われず「唯一江戸時代から戦前戦後の商店の建物が残っている地域。地元の町に対する歴史認識、市外来訪者に伊勢崎の歴史を身近に感じてもらえる場所」(前同)として今回の事業の意義を熱く語る。
新伊勢崎駅から西町通りに突き当たるT字路。東西通りから望むとわずかに視界に入る改装完成後の風景は、3月に国登録有形文化財に答申された江戸後期の考古館事務所「旧相川家住宅店舗」と考古館展示資料室「旧相川家住宅土蔵」、改装後の明治期の町屋をイメージさせた3棟が並ぶ。昔ながらの商店街の面影を残す西町通りだが、この異空間の誕生は地域の新たなビュースポット、伊勢崎でも改めて注目を集める観光拠点への可能性を秘めている。
伊勢崎市西町通りの空き店舗が町屋風コミュニテースペースに
歴史文化発信・町の活性化に相川考古館がCFでリノベ(2025年4月26日)
歴史文化発信・町の活性化に相川考古館がCFでリノベ(2025年4月26日)
東武線新伊勢崎駅から西に向かった突き当たりを南北に走る西町通り。この結節点に立地する相川考古館(伊勢崎市三光町 相川裕保館長)は、取得した北側隣地の空き店舗をリノベーション(改装)し、年内を目途に地域住民が集うコミュニティースペースを開設する。町屋だった空き店舗が、当時の雰囲気をまとって蘇る。江戸時代の土蔵店舗(考古館事務所)と改装空き店舗間の相川家空き店舗の解体で、西奥2階建て蔵造りの考古資料展示室が西町通りから視界に入る。このためこの一角の風景が様変わりする。同館では解体や空き店舗改修費の一部に充てるため、5月8日までクラウドファンディング(CF)を募っている。
空き店舗は同人誌「伊勢崎文学」の創刊メンバーで代表も務めた、故中澤響二さんが精肉店を営んでいた。閉店後の2022年、考古館に打診があり「歴史や文化を発信して中心街の活性化に」(相川館長)、と土地建物を譲り受けた。店舗は2階建て延べ床面積は約120平方m。土地は間口が約6.4m、奥行き約40mと町屋特有の"うなぎの寝床" 形状。建物は明治期に穀屋、昭和期に肉屋として利用されるなど、伊勢崎の街中では町屋の雰囲気を残す数少ない建物だ。

【写真】改装する空き店舗内。かつての居住空間はコミュニティスペースに改装

【写真】改装空き店舗から望む、見通しの良い新伊勢崎駅方面
改装は西側正面の下屋2階の看板建築を取り外し、現状の窓に格子窓を取り付ける。1階は両側に雨戸を設け、残る開口部は腰板のアルミガラス戸に入れ替える。壁は漆喰塗りを計画。西側壁は防火サイディングの下見板張りとするなど、昭和レトロの雰囲気を施す。1階の住まいには、二十四畳の板張りの多目的コミュニティースペースを設ける。店舗西側奥には給湯室などを配置する。考古館内のイベント開催が手狭だったことにも対応する。
伊勢崎市内の中心街は、区画整理事業を中心とした駅周辺総合開発事業が進行中。かつての街並はほとんど失われ、本町通りも整備後の街並しか見ることが出来ない。相川館長は「中心市街地は1965年以前の建物が少ない」と指摘する。こうした中で西町通りだけは区画整理も行われず「唯一江戸時代から戦前戦後の商店の建物が残っている地域。地元の町に対する歴史認識、市外来訪者に伊勢崎の歴史を身近に感じてもらえる場所」(前同)として今回の事業の意義を熱く語る。
新伊勢崎駅から西町通りに突き当たるT字路。東西通りから望むとわずかに視界に入る改装完成後の風景は、3月に国登録有形文化財に答申された江戸後期の考古館事務所「旧相川家住宅店舗」と考古館展示資料室「旧相川家住宅土蔵」、改装後の明治期の町屋をイメージさせた3棟が並ぶ。昔ながらの商店街の面影を残す西町通りだが、この異空間の誕生は地域の新たなビュースポット、伊勢崎でも改めて注目を集める観光拠点への可能性を秘めている。