【写真】例年に比べると背筋を伸ばしてインタビューを受ける臂市長

広域連携で再検討促したい 354号線BPの群馬県のBRT構想
再選した臂伊勢崎市長に聞く‐2025【4】(2025年5月1日)

― 今年度の新たな取組として多文化共生課の新設・多文化共生センター開設があります。

臂市長 多文化共生課では地域と外国籍市民の橋渡し役となるキーパーソン体制の強化、やさしい日本語の普及に取り組む。姉妹友好都市交流に加え、本市在住外国籍の方の母国との交流も深めていきたい。センターは昨年度、国から選定された「SDGs未来都市・自治体SDGsモデル事業」の拠点としても整備する。翻訳行政文書を集中させるなど外国籍住民の情報を収集し、行政サービス情報の一元化を図っていく。日本語支援や通訳・翻訳支援、多文化理解講座などの事業を集中させるなど、その拠点機能を高めていきたい。絣の郷市民交流館の一室を改装し、事務・フリースペースやラウンジ、市国際交流協会の事務局などを配置する予定だ。

― 空き家問題でも今年度、現状と対策のための実態調査を予定しています。

臂市長 空き家等実施調査(2020年度)以降の件数、分布状況の変化を把握するための実態調査を行う。計画的な適正管理と利活用、来年度実施予定の「第三次伊勢崎市空家等対策計画」策定に必要な基礎資料とするのが目的だ。戸建て専用住宅や店舗併用住宅の外観目視、不良度判定などの他、所有者の特定・意向調査などを実施する。市内全域でおよそ2000件が対象になる。

― 最期に2期目マニュフェストで、とりわけ力を注ぎたい取り組みは。

臂市長 市政運営の基本は、世代間・地域間、SDGs(持続可能な開発目標)による3つの共生だ。防犯・防災、多文化共生、官民協働の推進、DX(デジタル化で業務プロセス、組織を変革する取り組み)・GX(環境負荷を低減し、持続可能な社会実現のための取り組み)、子育て・教育、健康・福祉、社会資本の整備などの充実に取り組む。

― 周辺自治体との広域連携の道も模索していますね。

臂市長 これまでの自治体間競争ではなく、自治体間共生や連携・補完の必要性から、観光・公共交通・経済政策などでは課題対応型の戦略的な広域連携に取り組んでいく。政策課題として公共交通では、東毛広域幹線道路(国道354号バイパス)の群馬県のBRT(バス高速輸送システム)構想がある。また協議中の近隣5市町村による一般廃棄物処理については、早急に良い方向が見いだせるように議論をリードする役割を果たしていきたい。

― 新たな公共交通のネットワーク形成を目指す県のBRT構想は、その重要性を認めつつも災害・減災対策へのシフトで、協議は続けるとしながら予算計上が見送られています。

臂市長 この路線の定時運行の実現は、玉村町と伊勢崎市に新幹線駅が出来るくらいのインパクトがある。工業団地に多くの企業が立地する本市経済にも、その効果は計り知れない。農業・消防などで一体的に連携している玉村町、道路沿線に集客施設の立地が続く高崎市にとってもメリットは大きいはず。課題を共有、連携して、群馬県が本格的な再検討に乗り出してもらえるよう取り組みを進めたい。

【取材メモ】1期目のマニュフェストに掲げた「道の駅」誘致は、「採算性を考慮すると今の段階では」と慎重。保健所政令市への移行は「委譲事務概要、これに伴う施設や設備、専門職種などの情報、費用を含めた影響の分析」を引き続き課題に挙げ、2期目も粘り強く取り組む姿勢を崩さない。

無投票再選については「4年間何をしてきたのか、今後4年間どんなことをやってくれるのか。選挙がないと丁寧な説明の場が得られないし、市民の選択肢も広がらない」と残念がった。「きれいごとかもしれないが」の前置きは“臂市長らしい“言葉だった。(終わり)

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