インタビューを受ける臂市長

銘仙デザインコンテスト、多文化フェスタなど多彩に20周年事業
臂伊勢崎市長に聞く‐2024【2】(2024年4月5日)

 来年1月1日に新市誕生20周年を迎える伊勢崎市は、多彩な記念事業を計画している。臂市長は、こうした事業を通して、提唱している共生社会の実現も目指している。主だった記念事業の企画意図や概要を聞いた。

― 大正から昭和初期に全国生産量の半分を占めるなど、黄金期を経た伊勢崎銘仙の生産は、環境の著しい変化で終焉を迎えていますが、その存在は今なお市や市民にとって大きな誇りとなっています。「ISESAKI MEISEN Design Award」の狙いは。

 臂市長 伊勢崎銘仙が受け継いできた「染織(色彩・織物)の技術」と「趣向を凝らしたテキスタイル」の新たな可能性を見出すためのコンテストを通して、さらに斬新な色彩とデザインを次世代に継承していきたい。具体的には決まっていないが、優勝賞品は応募のデザインされた布製品を検討している。当然その場では無理なので来年のコンテスト時に用意するなど、継続的に連続性をもって実施できればと考えている。メガネのイタガキ文化ホール伊勢崎(市文化会館)で12月開催を予定している。

― 本庄市、深谷市の3市連携利根川花火大会には昨年初めて実施した有料観覧席は。

 臂市長 市ラグビー場周辺河川敷を打上場所に8月31日(荒天時は9月1日)に実施する。観覧場所は利根川水辺プラザ公園や島村蚕のふるさと公園などを予定している。
昨年初実施の有料観覧席は2人席・4人席・6人席を用意したが、6人席が売れ残った。駐車場付きでなかったことも影響していたのでは。こうしたノウハウは蓄積していきたいが、3市の連携事業ではさまざまな調整もあり、今のところ考えていない。

― コンピューターゲームをスポーツゲーム化したeスポーツは、県をはじめ各自治体でも産業振興や地域活性化に取り入れ始めています。市が計画しているイベントや企画の狙いは。

 臂市長 メガネのイタガキ文化ホール伊勢崎(市文化会館)で、来年2月に大会を予定している。また市内各所で年6回、体験会も開催する。このほかクラフト系ゲームによるデジタルまちづくりコンテストも実施する。運営に際してはeスポーツに関係する企業が市内にあれば、産業振興として地元企業育成につなげたい。市内各施設に若者から高齢者まで幅広い層が集い、楽しんでもらうことで、観光資源としても活用していきたい。

― 「ドリーム・サッカー」の具体的な開催内容は。

 臂市長 本市の選抜サッカーチームが、サッカー元日本代表のドリームチームと親善試合を行うほか、サッカー教室も開く。自治総合センターが実施する宝くじスポーツフェア開催事業を活用するため、観戦は無料招待。市の陸上競技場で来年3月に開催する。

― 市民、各種団体、企業などを対象に、企画事業の経費を一部補助する制度はこれまでにありましたが、20周年事業の「官民連携事業支援補助金」は。

 臂市長 全市的に取り組む大きなイベントから、伝統文化や芸能といった地域に根差した小さな活動まで、幅広い応援が今回の事業の特長だ。コロナ禍でお祭り、山車・屋台、芸能といった地域に伝わる伝統的な活動が失われつつあるとの声もあり、伝統活動の復活、伝承に活用してほしい。
事業は「市を元気に」(50万円を5件程度)、「地域を元気に」(20万円を10件程度)、「地域文化・芸術を守る」(10万円を55件程度)の3区分で、補助金(補助率は事業費の3分の2)を交付する。

― 多文化共生フェスタやスポーツ交流イベントについては。

 臂市長 日本語教室や外国人向け生活オリエンテーション、多文化理解講座、災害時外国人支援ボランティア研修会などを継続的に開いており、日常的に交流を深め、共生社会に向けた環境づくりに努めている。昨年初めて開催した多文化共生フェスタでは、各国のダンスや伝統衣装の披露、さらに食文化に触れるなど、多くの交流機会を得ることができたと思う。今年は20周年事業として、これまで未参加の団体などにも参加してもらえるよう広く呼び掛けていき、11月に伊勢崎市民プラザで開催する。
交流を深めるには食とスポーツの2つの要素は欠かせない。そこで今年はスポーツ教室も開催する。日本人のクラブチームのような形態は少ないようなので、企業を巻き込んで企業内スポーツチームなどの参加も促していく。これらフェスタやスポーツ交流イベントを通して、多文化共生社会の実現に向けたまちづくりに取り組んでいきたい。

【取材メモ】20周年事業以外で保健所政令市への取り組みも聞いた。調整・詳細を詰めている段階として具体的な話は出なかったが、「自分としては間違いなく、絶対に(自前の保健所は)あった方がいい」と、訴えるように漏れた言葉が印象に残った。
国政の自民党の政治資金パーティー問題には「国政でやるべき政治活動はしっかりやっていただいていると思うが、選挙となると特に地方では、後援会づくりをはじめとして人手も必要になる」と政治資金パーティーには理解を示した。ただ「収支は出せるように」と付け加えた。(終わり)
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