【写真】左上:高崎白衣大観音の原型。右上:佐藤藤三郎商店の建築プレート。左下:帝展出品作品「ペリカン(銀香炉)」。右下:前橋市水道局の水道供用栓。

群馬県立近代美術館で初の本格的個展
鋳金工芸家「森村酉三」没後70年の1 2019/09/25

 伊勢崎市(旧宮郷村)出身の鋳金工芸家で、高崎の白衣大観音原型制作者として知られる、森村酉三(1897〜1949)の没後70年企画展「森村酉三とその時代」が、高崎市の群馬県立近代美術館で11月10日まで開かれている。恩師や同年代作家、妻・寿々の作品も含めた総展示は約140点に及ぶ、初の本格的な回顧展。当時の鋳金芸術が、時代とともに発展してきた推移も知ることができる。

 酉三は前橋中学(前橋高校)から沼田中学(沼田高校)を経て、東京美術学校鋳造科(東京芸大)に進学。在学中に農商務省主催の美術工芸展覧会に4回連続入選を果たすなど若くして頭角を現し、大正から昭和にかけて鋳金家として活躍した。戦前の帝展・新文展を通じて工芸部門で、群馬県出身者として活躍した唯一の作家として評価されている。

 酉三作品の展示は約90点。作品は花瓶や鳥や動物の置物、郷土名士の胸像や新田義貞像、公共鋳造物、高崎白衣大観音の原型制作など多岐に渡る。人物彫刻や公共鋳造物は戦時中の供出で多くが失われ、現存する作品は決して多くない中、都内や地元伊勢崎、前橋、高崎の個人所蔵家の協力も得て集めた。

 東京美術学校を卒業後、鋳金工芸家・彫刻家としての酉三をスタートから手厚く支援したのが、森村家と親しかったという、伊勢崎で織物原料商を営んでいた佐藤藤三郎商店。1924年(大正13年)竣工の瀟洒な店舗建築2階窓に、藤模様の鋳造建築プレートを制作。新築記念披露品として亀と兎の花瓶も製作している。


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