【写真】2018年8月に廃刊した「いせさき新聞」(写真右下が最終号)。

            伊勢崎地域のフリーペーパー市場
           希薄な活字文化支える市民性と企業風土

1997年10月3日創刊の「いせさき新聞」は、群馬県伊勢崎市内と隣接する玉村町内で配達される読売新聞に折り込みで配られた週刊フリーペーパー(無料紙)。ブランケット版(一般新聞サイズ)4頁の発行で、2012年からは、隔週刊で発行を続けていた。2018年8月17日号を最終号とする、21年間の発行だった。

創刊前、既に同様のフリーペーパーが群馬県桐生市の「日刊きりゅう」、太田市で「太田タイムス」などが発行されていた。それぞれ桐生出身者が経営し、「いせさき新聞」も同様だった。活字文化に親しみ、それを支えようという気概と風土が残る桐生市。夕刊購読紙「桐生タイムス」(フリーペーパーわたらせも発行)は1945年の創刊以来、市民に親しまれ、「日刊きりゅう」も発行を続けている。

いせさき新聞を印刷していたのは、その「日刊きりゅう」の輪転機だった。先行地域での事業成功、空白地帯の伊勢崎市が魅力的なことも手伝い、その輪転機の空き時間を使って新市場に挑むことは、理にかなった経営戦略だった。ところがネット全盛の影響で、新聞業界全体は縮小傾向にある。体力のある企業は電子化移行へ試行錯誤を続けている。

フリーペーパー「いせさき新聞」の廃刊は新聞業界が衰退するなか、紙面の充実と営業努力が欠けていたことは事実。加えて桐生市民のような活字文化を支える下地の希薄も手伝っている。広告効果はさておいて、新聞を応援しようというスポンサー企業も多くはなかった。と言い切ってしまうことに語弊はあるが、編集に関わった身として、そんな愚痴をこぼしてみたくなる。(2022年5月25日)

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