民意を御旗に最大会派退会で岩盤を揺るがした小暮笑鯉子市議
   「第3子以降の出産祝金廃止条例」否決までの急転の舞台裏その3(2019/07/16)
【写真】伊勢崎市議会で「第3子以降の出産祝金廃止条例案」に対し、最大会派内で修正を訴え続け、最後は会派退会で出産祝金廃止案否決への道を開いた小暮笑鯉子伊勢崎市議(右)と、市議会本会議採決前に市民に呼びかけたチラシ(左)

伊勢崎市議会3月定例会の新年度予算審議「第3子以降の出産祝金廃止条例案」。告知や経過措置問題を指摘する声を尻目に、市議会は最大会派の伊勢崎クラブ(原田和行会長)の意向を受けて廃案可決に動いた。同クラブに所属しながら、クラブ内でいち早く修正動議に向けて声を挙げた小暮伊勢崎市議に聞いた。

―― 2月13日の市議会議員運営委員会で浮上した「第3子以降の出産祝金廃止条例案」。どのように受け止めましたか。

小暮市議 「何?これ」と、思うと同時に涙がジワ〜と出てきた。私自身、既に2回もこの祝い金を受けている身。4月以降に出産予定の知り合いもおり、祝い金が唐突に無くなることの弊害は大きいと感じた。すぐにクラブ内で「このまま通ったら大変なことになる」と、同期・1期性議員を中心に個別に声を掛けた。心情的には理解してもらえたものの、クラブの多数決決定の前では修正への動きは鈍く、原田会長には直接事務所を訪問するなどして何度もかけあった。

   「伊勢崎クラブの総意で修正案を」


―― 2月22日開催の本会議の質疑では、伊勢崎クラブの栗原麻耶市議、共産党の長谷田公子市議、一人会派だった堀地和子市議3人が、同一議案で登壇しました。

小暮市議 当初は私も質問する予定だったが、会派内の諸事情で栗原市議に託した。十分な告知期間や経過措置については、執行側としても熟慮の提案であったと思うが、回答はいずれも「必要なし」と素っ気無かった。他の自治体を調べたら、こうした場合は一定の告知期間を設けており、市の対応にはどうしても納得がいかなかった。

―― 付託議案として採択を求められた、自身が委員長も務める文教福祉委員会(委員長は後日辞任)が3月7日に開かれ、廃案が可決されました。

小暮市議 委員会前のクラブの話し合いで、修正案を主張したが多数決で押し切られ、委員会では議決に加われない委員長として廃案の可決に臨んだ。クラブの総意としての祝い金廃案修正に望みがなくなりつつある中で、既に修正動議提出に動いていた堀地市議に相談すると「一緒に」と誘われた。
周囲からは「大人の対応を」と、たしなめられたが、修正動議提出期限の迫る中、クラブ退会を決意し、5人が署名した修正動議提出に加わった。並行して関係者や多くの市民に訴え続けると同時に、フェイスブックにも投稿を続け、民意を身近に感じた。

   「自分は何のために議員になったのか」


―― クラブの総意に反する行動からクラブ退会へ。その一連の行動力とSNS(交流を促すコミュニティ型Webサイト)も含めた発信力が、これまで多数決原理で揺るがなかった最大会派の岩盤を突き動かす一因にもなったのでは。最大会派に所属するメリットは決して少なくなかったはずですが。

小暮市議 初心に戻って考え、悩んだ。自分は何のために議員になったのか。同じ悩みを持つ女性たちに、何かできる立場にいながら、保身のために、こんな理不尽なことを見過ごしていいのかと。
これからも市民が何をどのように考えているのか、しっかりと民意をすくい上げて、伊勢崎市に何が本当に必要なのかを考えていきたい。クラブを退会し一人会派にはなったが、今後も信念と覚悟を持って、議員活動に取り組みたい。子どもたちに希望が持てる未来を残すためにも。

「第3子以降の出産祝金廃止条例案」否決までの急転の舞台裏その1

「第3子以降の出産祝金廃止条例案」否決までの急転の舞台裏その2

伊勢崎市議会の会派構成

修正に真っ先に動いた堀地和子伊勢崎市議
   「第3子以降の出産祝金廃止条例案」否決までの舞台裏/その2(2019/07/04)
【写真】伊勢崎市議会で「第3子以降の出産祝金廃止条例案」に対し、真っ先に修正へ動いた堀地和子伊勢崎市議と5人の市議が署名した修正動議

 伊勢崎市議会3月定例会の新年度予算審議で「第3子以降の出産祝金10万円廃止案」に対し、あまりにも性急としてその周知徹底や経過措置の必要性を求めて修正へ、最初に声をあげた堀地和子伊勢崎市議に聞いた。

 ―― 2月13日開催の議員運営委員会で突如として議案が浮上し、3月7日に所管の文教福祉委員会で可決されるなど、最大会派の伊勢崎クラブの意向により、粛々と廃案可決に動いた伊勢崎市議会。多数決原理の民主政治の中、あえて声を上げたのは。

 堀地市議 財政が厳しいことや多数決原理からいけば仕方のないこととわかっていたが、廃止するにはあまりに周知期間が短く経過措置も講じられていないことから、まずは本会議の質疑で執行の考えを問い質した。この時も執行からは納得のいく回答を得られず、「このままで議案を通してはいけない」と痛切に感じた。

   修正に向け、まずは一人会派部屋で賛同を募る


 ―― 状況は多勢に無勢。どのように動いたのですか。

 堀地市議 6人が在籍する一人会派部屋で訴え、一部が躊躇するなか唯一、高橋宜隆市議が協力を申し出てくれた。大きく前進したのは2人会派、平成クラブ(田村幸一代表・森田修市議)の賛同。この間、小暮笑鯉子市議(伊勢崎クラブ所属)からも相談を持ちかけられ、女性同士で議案の修正を共有した。議運に席(3人会派以上の市議で構成、伊勢崎市議会は特例で2人会派以上)を持つ田村代表の協力で、本会議での修正動議に向け、短期間で議運への修正案提出にこぎつけた。

 ―― 5月10日に高橋宜隆市議と2人で有志会を発足したのは、この時の教訓もあったのですか。

 堀地市議 一人会派による自由な議員活動のメリットの一方、今回の件ではその限界も感じた。議運に席を置くことで、議会情報を先行して取得し、今後の議員活動に活かしたいと思った。

   「民意を受けたら会派の意向ではなく、議員個人の意見を」
 

 ―― 本会議の採決で出産祝金廃止案の修正動議は予想通り否決されました。その後の採決で、廃止案に賛成だった伊勢崎クラブが急転、廃止案反対、という想定外の行動に転じた要因についてはどのように考えますか。

 堀地市議 伊勢崎クラブ内には、いつになく様々な意見が噴出し、若手などは「修正案で良いのでは」という声もあったと聞いている。それぞれの議員を支える支援者の声や議員の考え方を尊重すれば、自主投票でもおかしくなかったはず。民意と言うより、会派事情、会派の都合が優先された結果では。

 ―― 伊勢崎市は6月議会で、出産祝金を20年度まで2ヵ年継続を明らかにしました。今回の議会の一連の顛末を振り返って。

 堀地市議 出産祝金は財政規律の面からもあのまま存続させるわけにはいかない。執行が表明したように、子育て支援全体を見直す中で検討する必要がある。今後は執行に全てお任せではなく、議員個人や会派というより、議会として大所高所からこれらの問題に取り組むことが重要だと感じている。
 一方、真の民意を受け止めたら、議員はいざとなれば会派としてではなく、議員個人としての意見、意志を貫きたい。一人ひとりが“サムライ”として行動し、加えていかなる決断であっても説明責任が伴うことも自覚したい。


「第3子以降の出産祝金廃止条例案」否決までの急転の舞台裏/その一

伊勢崎市議会の会派構成


真の民意どこに?伊勢崎市議会の女性市議はその時どう動いたか
   「第3子以降の出産祝金廃止条例案」否決までの急転の舞台裏/その一(2019/06/25)
【写真】3月19日開催の伊勢崎市議会定例会本会議。田村幸一市議の「第3子以降の出産祝金廃止条例案」に対する修正動議

 伊勢崎市議会定例会の3月本会議の新年度予算案で、議決前夜まで賛成多数で可決が見込まれていた「第3子以降出産祝金廃止条例案」。一人会派を中心とする市議5人が、周知期間不足と経過措置を求める修正動議提出のなか、民意を受けたとして定数の過半数を占める最大会派、伊勢崎クラブ(原田和行会長)が、一夜にして否決に転じて継続が決まった。

 伊勢崎市は6月18日の市議会本会議で出産祝金継続は20年までの2ヵ年、以降は子育て支援策の総合的検討で、支給額を含め判断する、と改めてその方向性を打ち出した。否決は問題の単なる先送りだったのか。真の民意はどこにあったのか。急転の舞台裏で、覚醒したかのような議会制民主主義のダイナミズムと危うさを垣間見せた伊勢崎市議会。地殻変動に大きく関わった堀地和子・小暮笑鯉子市議に聞いた(次号、次々号にインタビュー記事掲載)。

 年200人〜300人が受給しているという伊勢崎市の出産祝金は、第3子以降の出産に対し、新生児一人に10万円を支給している。伊勢崎市が新たな学校給食費一部補助の予算化やその他の子育て支援を総合的に勘案し、3月末での祝金廃止を決めた。この条例案を上程したのが2月19日の本会議。一人会派(当時)の堀地市議が、周知期間のあまりの短さと、これを補う経過措置を求めて、賛同が見込まれる市議らに修正動議提出を呼びかけた。

   前代未聞の「委員会で可決、本会議で否決」

 本会議の円滑な審議に向けて事前の予備調査的審議を担う、所管の文教福祉委員会開催は3月7日。廃止案の経過措置など修正を考えていた伊勢崎クラブ所属の小暮市議だったが、皮肉にも同委員長を務めていた。会派の意向を受けた委員会運営の中で可決を余儀なくされたため、委員長を辞任。会派も離脱後の3月14日、田村・堀地・森田修・高橋宜隆市議らの修正動議提出の署名に名を連ねた。

 3月19日の伊勢崎市議会定例会本会議の出産祝金廃止条例案審議。修正動議否決後の廃止案採決で、議場には拍子抜けしたようなわずかなどよめきが広がった。廃止案の採決に賛成起立したのが、一人会派のわずか2人だったからだ。伊勢崎クラブが前夜、幹部などへの電話による根回しと本会議当日の早朝の集まりで、会派の否決を慌しく確認した。委員会審議の可決原案が、本会議で否決されるというのは前代未聞の事態だった。

   「伊勢崎クラブはイエスマンではない」

 原田会長は「批判の声が高まってきたことを受け止めた。急だったこと、会派の中には様々な意見もあり議論したが、最終的には私の考えに同調してもらった。会派が(執行の)イエスマンといわれることもあるが『ダメなものはダメ』という姿勢は評価を受けたはず」と胸を張る。小暮市義の会派離脱、修正動議参加の影響については答えなかった。

 周知期間不足と経過措置の必要性から、修正動議署名に加わらなかったものの、修正動議には参加した一人会派の伊藤純子市議は「出産祝金はその子供たちの将来につけをまわすようなもの。本来なら廃止すべき」と持論を力説する。伊勢崎クラブ所属の栗原麻耶市議は、自身が4人目を4月下旬に出産した当事者。議案を目にした時のショックは大きかったが「公平に多くの市民が安心できる子育て環境の充実を」と会派の意向に沿い、採決当日朝までは廃案の賛成討論まで予定していた。共産党の長谷田公子市議は「子育て支援の後退、施策決定過程が不明瞭」などとする討論で、党として明確に反対した。田部井美晴市議が所属する公明党は、採決時に反対が明らかになった。

 伊勢崎市議会定例会の6月18日開催本会議の高橋市議の質問で、出産祝金廃止条例案の今後の方針に加えて、条例案に対する市民の意見内容も明らかになった。否決前の意見は「継続か否かの問い合わせ」と「継続要望」が各3件、「不妊治療補助振り替え」1件の計7件だった。このうち2人が市民への周知期間が短いことも指摘していた。否決後は「継続か否かの問い合わせ」2件に留まった。

 ※次回、次々回に堀地和子・小暮笑鯉子市議のインタビュー記事掲載予定

民家やアパート、風景など重要で印象的シーンを伊勢崎市内で撮影
   横山秀夫原作 映画「影踏み」監督や主演者ら伊勢崎市長表敬訪問(2019/06/05)
【写真】上:伊勢崎市庁舎の市長室で記者会見した、(右から)五十嵐市長、篠原監督、主演の山崎さん、原作者の横山さん。下:撮影に使われた伊勢崎市東本町の文具店

 群馬県内の全編ロケの中でも伊勢崎市内で多くの撮影が行われた、横山秀夫さん原作映画「影踏み」(篠原哲雄監督)の関係者が、11月の全国公開に先駆けて5日、五十嵐清隆伊勢崎市長を表敬訪問した。ミュージシャンで主演の山崎まさよしさん、篠原監督、横山さんらが、市や市民に感謝を述べるとともに映画の撮影秘話を語った。

 元上毛新聞記者で「クライマーズ・ハイ」「64」などで知られる横山さんは、警察目線の犯罪小説が多いが、「影踏み」は泥棒(作品では忍び込みのプロ“ノビ師”)が主人公という異色作。映画は謎解き犯罪ミステリーにとどまらない、奥深いヒューマンドラマが展開する。会見では山崎さんを犯罪者にしてしまったことを詫びる横山さんが「もう少し後なら一級建築士(現在のベストセラー『ノースライト』主人公)に」と笑わせた。

 篠原監督によると、伊勢崎市内では主人公が忍び込む民家や川の土手など、いずれも重要で印象的なシーンを撮影。「人々が、ごくごく普通に暮らす庶民的な雰囲気がいい」とロケ地選定の理由を説明。撮影に協力してくれた市民や関係者に感謝した。主演の山崎さんは保育所の撮影などの印象から「子育てしやすい地域では」と感想を語った。伊勢崎市の主要施策ともなっている「子育て環境の充実」の指摘に、五十嵐市長は満足そうに頷いていた。

 伊勢崎市文化観光課の要請を受けて、市内で民間の撮影候補地探しに奔走したのは、「いせさきフィルムコミッション応援団」(五十嵐均団長)。主人公の山崎さんが忍び込む一般的な民家や豪邸、小野真千子さん演じる主人公の恋人が暮らすアパート(三光町)、うらぶれた文具店という設定の文具のシマ(東本町)など、いずれも数ヵ所を提案したという。文具店店主は滝藤賢一さんが演じている。市施設ではで第三保育所(昭和町)、いせさき聖苑(波志江町)などで撮影した。

 五十嵐市長も元上毛新聞記者で、横山さんとは旧知の仲。1987年発生の功明ちゃん誘拐殺人事件では、市長が群馬県警のキャップで、横山さんがサブキャップを務めた。「あの時、私の忠告を聞いていたら、今の横山さんはなかったかもしれない」と五十嵐市長が自虐的に明かしたのは、横山さんが作家になるために、あえて会社を辞めようという時「大変だから会社に残って作家を目指したら」というアドバイスだった。

 同映画は伊参スタジオ映画祭などでつくる「影踏み」製作委員会が製作。篠原監督が22年前に同スタジオで撮影した「月とキャベツ」で山崎さんを主演に起用した縁で、再びタッグを組む。

伊勢崎市民プールが施設老朽化で来年度利用休止
   休止後は市内他2プール施設も含めて総合的に検討(2019/05/14)
【写真】約半世紀、夏季には子供たちの声で賑わった華蔵寺公園内の伊勢崎市民プール

 ウォータースライダーや流れるプールなどで約半世紀、市民に親しまれてきた華蔵寺公園内の伊勢崎市民プール(伊勢崎市堤西町)が、来年度で利用休止となる。施設の老朽化が原因で、5月末から実施する安全点検などで、損傷の程度によっては今夏の利用休止も検討する。伊勢崎市は休止後について、他の市内のプール施設も含めて、プール施設の在り方を総合的に検討する。

 伊勢崎市民プールは、華蔵寺公園内の各種運動施設(野球場、体育館、陸上競技場、競泳場)のひとつとして1971年にオープンした。プールは50メートルと25メートル、小型スライダー付の子供プール、一周120メートルの流水プールなどを整備。人気を集めたウォータースライダーは、高さ15メートルが2基、約7メートル2基を設けている。

 施設は50メートルプールの底亀裂が年々激しくなり、流水プール配水管からは漏水、機械設備などの老朽化が著しい。このため安全な管理・運営が見込めないとして伊勢崎市は、来年度からの利用休止を決めた。今夏は例年通りの運営を予定しているものの、運営開始前の安全点検で不安が生じた場合は、今夏からの休止も検討する。

 伊勢崎市内には市民プールの他、通年利用の温水プール、あずまウォーターランド(伊勢崎市田部井町 1998年オープン)と境プール(伊勢崎市境下武士 1982年オープン)がある。あずまには25メートル・幼児プールの他、長さ50メートルのウォータースライダーを設けている。境も流れるプールや直線スライダーが楽しめる。市民プール休止後は、これら2施設も含めてプール施設を総合的に検討する。







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