【ぜんにょじ はすみ/本名 大石悦子】1965年11月、伊勢崎市八幡町生まれ・在住。市内小・中学校、前橋市内の私立高校を卒業後、20歳で結婚。一人娘の子育ての傍らパート勤務。介護の仕事に就いたのは35歳で、6年前からグループホーム勤務。2017年から作曲家でピアニスト、指導者として音楽工房「Moderato」(伊勢崎市茂呂町)を運営の、さかたひろしさんに師事。キングレコードから2018年、「あなたのいる風景」「ワルツを一緒に・・。」でCDデビュー。
50歳過ぎてキングレコードのCD歌手に「善如寺春澄」さん
介護仕事の傍ら地道に歌手活動(2023年6月29日)
 キングレコードから5年前にCDデビューした。介護の仕事の傍ら、歌手活動を続けている。学生時代、結婚後もしばらくは、そうした環境とは無縁の生活だった。アカペラのコーラスグループにほんの少し在籍したことはあるが、子育てやパート勤務の忙しさにかまけ、ほどなく足が遠のいていた。50歳を過ぎてから、突き動かされるようにこの道に入った。

 友人に刺激を受けて2016年、初めて出場した群馬テレビ放映の第30回群馬県歌謡大賞。2回の予選にブロックごとに勝ち上がり決勝に残ったが、賞に絡むことはなかった。「大会出場や賞の獲得が目的ではなかったが、無性に悔しかった」。「自分の良いところを引き出してくれる、しっかりした指導を受けてさえいれば」と、この時初めて師とのめぐり逢いを求めた。

 それがきっかけで出会ったのが、作曲家でピアニスト、歌唱指導もしている、さかたひとしさんだ。さかたさんの作詞作曲によるCDデビューは、指導1年後に訪れた。最初は猛反対する両親や夫への説得に追われた。制作費などの不足分は自身の借金でメドをつけた。「一生の夢が叶った、もう次はない」と思い込んでいた矢先の6月30日、2枚目CDをリリースする。協力者だった夫は他界し、今回は一人娘にも直前まで打ち明けなかった。

 その楽曲のひとつが、バスの車窓や車内から乗降客を見つめ、物思いにふけり「降りる先にはみんなが待っている」と締めくくる『バスを降りるまで』(作詞・作曲さかたひとし)。「一区切りの終点の先に新たな人生が見えてくるような、そんな心境」に自身を重ねた。さかたさんが数年前に誰のためでもなく作った曲だったが、「これは私の歌だ。私が歌いたい」と、後先考えずに頼み込んでいた。

 伊勢崎市境町の赤レンガ倉庫や中澤カフェ(同)などで「地道にコツコツ」歌手活動を続けている。「ストレス発散」は仕事帰りの一人カラオケ。「時の流れに身を任せ」など、テレサ・テンの曲が気に入っている。目標とする歌手は「考えたこともない」が、強いて挙げれば「美空ひばりさんかな」と、首を竦めて遠慮がちに答えた。(廣瀬昭夫)