「土の素材が持つ豊かな音楽性。その可能性を追求したい」
   オカリナ四重奏団 アンサンブル・オウル代表 栗原昭矩さん/18年11月27日
【くりはら あきのり】1957年7月6日、伊勢崎市山王町生まれ・在住。伊勢崎東高校(現伊勢崎高校)、京都工芸繊維大学住環境学科(現デザイン・建築学課程)卒業。熊谷組や前橋市内の設計事務所勤務を経て98年、地域計画工房(伊勢崎市山王町)代表。オカリナ演奏・制作の第一人者、故火山久氏から、前橋土笛の会の一員として指導を受けたのは1988年から。数年後にはアンサンブルを中心とした演奏活動。1994年にはイタリア3都市で演奏も。オカリナ四重奏団アンサンブル・オウル代表。(写真:オカリナを手にする栗原さん)
 オカリナ奏者としてまだ無名だった宗次郎氏(館林市出身)のテレビ演奏で、その音色に惹かれた。思わず楽器を購入してしまったという。引き出しの奥にしまったそのオカリナを、再び手にしたのは5年後の1988年だった。

 宗次郎氏の師、火山久氏率いる「足利ネオ・クレイトン・アンサンブル」。その前橋公演で、上質な演奏に衝撃を受けた。オカリナだけでなく、教会音楽の作曲家としても、国際的評価を得ていた火山氏をこの時、初めて知った。

 半年後の火山氏指導のオカリナ教室(前橋市内)開催で、2年間指導を仰ぐ。月2回の指導は、初心者ばかりの受講生には時間不足。設計事務所勤務が終わる午後10時〜11時、路上脇に停めた帰りの車中で、午前0時を過ぎるまで練習に明け暮れた。

 めったに褒めることがなかったという火山氏。数ヵ月後、練習の成果を単独で聴いてもらった時、握手を求められた。この時の「火山先生のグローブのような手が今でも忘れられない」と昨日のことのように語る。

 四重奏団はソプラノ、アルト、テノール、バス(栗原さん)を担当する愛好者4人で2008年に結成。プロ・指導者・愛好家が年1回、埼玉芸術劇場に集う「ジャパン・オカリナ・フェスティバル」には2010年から出演し、2013年にはトリを飾った。

 県内各地の演奏活動では唱歌、世界民謡、クラシックなどの演奏に合わせミサ曲などを披露している。愚直に求めてきたのは、四重奏から生まれる純正調の美しい響き。「次の世代にきちっと伝えたい」と、2つのオカリナサークルの講師も務める。

 穴を開けた陶製の壷を共鳴させるオカリナ。音域は狭いが、息の強弱により不器用なまでに素朴で、暖かな音色を紡ぎ出す。「土の素材が持つ豊かな音楽性。その可能性を追求したい」は、師が指摘していた言葉でもあった。

 オカリナ同様に熱く語るのは、建築設計士として関わる“街づくり”。代表を務める「いせさき街並研究会」ではワークショップ、まち歩きの案内などを通して「歴史を活かした街づくり」を根気よく提唱し続けている。(廣瀬昭夫)