【写真】伊勢崎市の中心街、本町通りで2018年に開かれた「いせさき七夕まつり」

本町通りの賑やかな手づくり七夕飾りはもう見られない?
伊勢崎駅前広場中心に代替七夕まつり開催(22年7月13日)

 夏の風物詩として市民に親しまれ、中心街の本町通りを会場に開かれてきた「いせさき七夕まつり」。コロナ禍で2年間の中止を余儀なくされ、3年目の開催を模索していたが、再開までの環境が整わず、昨年までに中止の流れができていた。市は中心街活性化のため急遽、JR伊勢崎駅南口駅前広場で代替えイベント「いせさきスターナイト」を16日〜24日まで開く。来年以降の本町通り開催は今のところ見通しは立たず、このまま静かに立ち消えの可能性も出ている。

 あるカメラマンに「手作りの飾りだけでこれだけ魅せる七夕は他にない」と褒められたことを懐かしむのは、本町通りの商店で組織する本町百店会の矢内孝典会長。商店街が主体的に始めた七夕まつりで、その手作りを支えたのは「従業員もいて、夏は比較的に閑で対応できた」(前同)各商店だった。ただ業界の低迷に伴い、近年は通りに並べる50本近い竹竿は市が提供。七夕飾りは市内の幼稚・保育園の園児やその保護者の協力を得ていた。骨組のカゴや張紙など、七夕飾りの主要材料も市が提供していた。

 コロナ禍が続く昨年、市は幼稚・保育園に対して七夕飾り協力の今後の見通しをアンケート調査。大きな七夕飾りの準備には期間と労力を必要とし、人が集まりにくい環境の中で園児や保護者の負担も増大していることがわかり、「今年は難しい」の判断に至った。開催期間中の大規模な交通規制も課題にあがっていた。そこで代替イベントを検討するため「いせさき七夕まつり実行委員会」を組織し、企画を練ってきた。

 代替の「いせさきスターナイト」会場は、伊勢崎駅と駅南口駅前広場、大手町パティ。駅前広場を中心とした街灯や雨除け庇を支える柱に添えた竹竿50本に、市内保育・幼稚園児の願い事を書いた短冊や七夕飾りを添える。16時から21時まではライトアップし、イルミネーションを点灯。同時開催の「楽市夜市」では大道芸、マスのつかみ取り、野外シネマ鑑賞会など多彩なイベントが開かれる。駅前通路で16日、伊勢崎生まれで人気ロックバンドLACCO TOWERのKey.真一ジェットさんがピアノを演奏する。

 本町通り開催時の七夕飾りは、3軒ほどの個店では自前の七夕飾りを店舗前で飾っていたが、今年の駅前イベントには参加していない。七夕飾りで他の協力が得にくい中での中止で「商店の開催負担もあり、今後の本町通り再開の可能性はほとんどない」と、する商店主の声もある。一方、市は「今回の代替イベントの反応、反響を見極めたい。その上で実行委員会の意見なども伺い、今後について判断したい」と、中心商店街活性化のためにも慎重に構える。(2022年7月13日)