【写真】グンビルが開発した、床ワックス剥離廃液などの廃棄物処理システム

有害な洗浄剥離廃液を開発処理システムでリサイクル
グンビルがシステムの特約店募り、全国普及へ

業界関係者と関係任意団体を先行設立

 床ワックスの洗浄剥離作業で発生する廃液。環境省が今年から、産業廃棄物として適正処理するよう基準を厳格化したが、不適正処理事例がこれまで少なくなかった。施設清掃、空調・厨房設備洗浄を手掛けるグンビル(伊勢崎市ひろせ町 高野こずえ社長)は、開発した処理システムで、同廃液をリサイクルする環境保全に取り組んでいる。

 同社は2009年、業界関係者と「剥離廃液を適正に処理する会」(高野健代表=グンビル会長)を先行設立。今後は同会をベースにシステム設備設置の特約店を募り、全国で同業者が適正処理できるようシステムの普及を目指す。

 装置は廃液内のポリマー除去、残渣取り出し、基準値まで浄化の3段階で処理する。河川放流基準値内の水と発電用ペレット原料となるポリマーなどに処理。一連のシステムで6特許を取得している。

 処理システムを設けた工場、ライブステーション(伊勢崎市粕川町)で、日量1・5トンの処理が可能。廃液を処理する産業廃棄物処分業許可を取得し、自社作業の廃液だけでなく、同業者からの廃液処理も受託している。

 今までの廃液処理は焼却がほとんどだった。焼却に比べて処理システム利用では、CO2削減効果は60パーセントという。

 廃液処理システムは、廃液の有害性が高まる中で、開発に乗り出した。省スペース化、処理時間短縮、コスト抑制などの改良で普及にメドをつけた。エアコン・カーペット洗浄廃液処理も可能。

 環境省は2月、グリーン購入法に基づく「環境物品等の調達の推進に関する基本方針」見直し案の意見広告で、対応方針を公表。それによると「剥離後の原液は産業廃棄物として処理されることが望ましく、その場合はマニュフェスト管理(産業廃棄物の運搬・処分状態を明らかにする仕組み)を実施」と明記している。

 問題意識を共有する、ビルメンテナンス関係5社で設立した「剥離廃液を〜会」はこれまで、行政機関の指導を仰ぎ、適正処理のあり方を検討してきた。この間、群馬県内を中心に全国から会員が集まり20社に拡大。「建築物の清掃から排出される廃棄物の適正処理手引書」などをまとめている。(2018年9月29日)