【写真】伊勢崎市野球場(左)と近くに設置された鈴木惣太郎記念像

10月から始まる伊勢崎市の11施設ネーミングライツ
「鈴木惣太郎記念球場」の愛称に想う(2022年6月27)

 文化施設やスポーツ・公園施設などの名前に企業名や社名ブランドをつけるネーミングライツ。自治体の施設維持負担を軽減し、企業のイメージアップを促すメリットがあり、多くの自治体で実施されている。準備を進めていた伊勢崎市も6月末には11施設の応募を締め切り、10月に契約開始となる。昨年1月に就任した臂市長は「公共施設に一民間企業名を冠することには抵抗があったのでは」と、後手に回っていた背景に触れていた。

 市の契約希望額は、華蔵寺公園遊園地と市文化会館が年額300万円以上。市庭球場と市あずまスタジアムは同50万円以上で、他は100?200万円以上に設定している。市民としては、どんな企業がどんな愛称で応募してくるのか。応募金額も含めて興味は尽きない。期待が上回り、市施設名に愛称が加わることに、それほど抵抗はないように見える。ただ慣れ親しんだ「華蔵寺公園」の対外イメージは薄まる。一抹の寂しさを覚える市民も少なくないだろう。

 もう一つ気になるのが、伊勢崎市出身で日本プロ野球創世の功労者、日本野球連盟の副会長を務めた「鈴木惣太郎記念球場」の愛称を持つ市野球場(市契約希望額100万円以上)だ。募集要項では新愛称と並行してその使用継続を条件にしている。球場玄関前の看板表示から、放送での愛称の呼称、ポスター・パンフレットの表記など、細部は契約企業と詰めることになる。両方で印象が散漫になることを懸念する。

 ここから先は妄想である。市の意向を忖度した応募企業が、自社をアピールする新愛称を放棄し、「鈴木惣太郎記念球場」の愛称を掲げる”太っ腹”企業が現れないものだろうか。変則的な契約条件もあり、もし未契約に終わったら、市が代わって愛称命名権を行使。他施設と横並びのネーミングライツ事業として完遂するこができないものだろうか。市の施設愛称事業がスタートする今年、鈴木惣太郎は没後40年を迎える。