大阪府道明寺天満宮の埴輪窯復元を紹介する講演中の橋本名誉教授
伊勢崎市下触町で、市が発掘調査していた埴輪生産遺構の埴輪窯跡、使用粘土を採取した土坑跡と工房跡が発見された「石山南遺跡・石山南古墳群」。同時に近接して見つかった事例は珍しく、6月30日に開かれた現地説明会には約500人が訪れた。その保存が今後の課題となるなか、「埴輪生産遺跡の保存・整備・活用」をテーマに7月28日、美原診療所内ホール(伊勢崎市大手町)で講演会が開かれた。
公益財団法人相川考古館(伊勢崎市三光町 相川裕保館長)が主催し、文化財保存全国協議会が共催した。同協議会の代表委員も務める橋本博文新潟大学名誉教授が、2024年会報91号特集「生産遺構の保存と整備」の原稿を補筆・修正した資料に基づき講演した。馬渡埴輪製作遺跡(茨城県ひたちなか市)、小幡北山埴輪製作遺蹟(茨城県茨城町)、国指定史跡の本郷埴輪窯址(群馬県藤岡市)、桜山窯跡群(埼玉県東松山市)などの保存、復元状態を豊富な写真資料で解説した。見せ方や案内板の望ましいあり方なども指摘した。
橋本名誉教授は石山南遺跡・古墳群について、さらに外側の広い範囲で埴輪や工房跡などがセットになっている可能性を指摘。「将来的には広範囲な保存、整備、活用を」と行政や関係者に呼び掛けた。橋本名誉教授の講演前に、相川館長が歴史遺産を残す行為についてミニ講演。個人、研究機関・地域、行政機関が一緒に考えるなど「何かしらの力(感情)を加えない限り、残すことは難しい」とそれぞれの自発的な行為を促した。
埴輪生産遺構群が発見されたのは石山南古墳群を形成する6世紀初頭の「赤堀村107号墳」の南側。民間の倉庫建設と土地造成に伴い、今年の5月から発掘調査していた。トンネル状の「あな窯」跡が見つかったのは開発地の南東の角。粘土採掘抗は南端に3か所、工房的な建物跡は南端3棟、東側107号墳の周溝脇で1棟を確認した。市文化財保護課は、南側周辺一帯の窯跡や粘土採掘抗などの広がりを確認するため、今後も発掘調査を予定している。
「石山南遺跡・古墳群」現地説明会資料。上は(右1頁、左4頁)、下は(右3頁、左2頁)
埴輪窯、土坑・工房跡が近接・同時発見「伊勢崎の「石山南遺跡・古墳群」
橋本名誉教授が既存遺構群の講演で保存・復元を呼び掛け(2024年8月7日)
橋本名誉教授が既存遺構群の講演で保存・復元を呼び掛け(2024年8月7日)
伊勢崎市下触町で、市が発掘調査していた埴輪生産遺構の埴輪窯跡、使用粘土を採取した土坑跡と工房跡が発見された「石山南遺跡・石山南古墳群」。同時に近接して見つかった事例は珍しく、6月30日に開かれた現地説明会には約500人が訪れた。その保存が今後の課題となるなか、「埴輪生産遺跡の保存・整備・活用」をテーマに7月28日、美原診療所内ホール(伊勢崎市大手町)で講演会が開かれた。
公益財団法人相川考古館(伊勢崎市三光町 相川裕保館長)が主催し、文化財保存全国協議会が共催した。同協議会の代表委員も務める橋本博文新潟大学名誉教授が、2024年会報91号特集「生産遺構の保存と整備」の原稿を補筆・修正した資料に基づき講演した。馬渡埴輪製作遺跡(茨城県ひたちなか市)、小幡北山埴輪製作遺蹟(茨城県茨城町)、国指定史跡の本郷埴輪窯址(群馬県藤岡市)、桜山窯跡群(埼玉県東松山市)などの保存、復元状態を豊富な写真資料で解説した。見せ方や案内板の望ましいあり方なども指摘した。
橋本名誉教授は石山南遺跡・古墳群について、さらに外側の広い範囲で埴輪や工房跡などがセットになっている可能性を指摘。「将来的には広範囲な保存、整備、活用を」と行政や関係者に呼び掛けた。橋本名誉教授の講演前に、相川館長が歴史遺産を残す行為についてミニ講演。個人、研究機関・地域、行政機関が一緒に考えるなど「何かしらの力(感情)を加えない限り、残すことは難しい」とそれぞれの自発的な行為を促した。
埴輪生産遺構群が発見されたのは石山南古墳群を形成する6世紀初頭の「赤堀村107号墳」の南側。民間の倉庫建設と土地造成に伴い、今年の5月から発掘調査していた。トンネル状の「あな窯」跡が見つかったのは開発地の南東の角。粘土採掘抗は南端に3か所、工房的な建物跡は南端3棟、東側107号墳の周溝脇で1棟を確認した。市文化財保護課は、南側周辺一帯の窯跡や粘土採掘抗などの広がりを確認するため、今後も発掘調査を予定している。
「石山南遺跡・古墳群」現地説明会資料。上は(右1頁、左4頁)、下は(右3頁、左2頁)