【写真】講演中の特別ゲストの中村紀雄さん(左)。書籍は「伝説の『どりこの』」

多士済々が毎月 思い入れの深い書籍紹介
特別ゲストやビブリオバトルも 赤石読書会

 多文化茶論「粋庵」(伊勢崎市本町 茂木園2階)を会場に、会員が毎月それぞれのお気に入りの本を紹介し、参加者が感想・意見を語り合う読書グループ「赤石読書会」(桐野嘉六会長)。事務局の茂木克美さんが伊勢崎ロータリークラブの仲間を中心に呼びかけて昨年1月に発足し、丸2年を迎える。取り上げる書籍は、著名な名作や個々に思い入れの深い作品など多彩。特別講師例会など、他のユニークな活動も含めて紹介する。

 複数の発表者が一定の持ち時間に、お気に入り・お薦め本を持ち寄り紹介する書評ゲーム、ビブリオバトル。発表者も加えた参加者で、一番読みたくなった本を決定する。8人が参加した6月例会では、「十二人の手紙」(井上ひさし著)、「(池波正太郎の銀座日記」(池波正太郎著)、「一週間」(井上ひさし著)の三冊が紹介された。書評は割れたものの、票は均等に入った。

 10月例会で外部講師として招いた元群馬県議会議長で著述家の中村紀雄さんは、自著の「シベリア強制抑留 望郷の叫び」を解説した。ロシア訪問の際に国立古文書館で、存在は知られていたものの日本人として初めて入手した「スターリン大元帥への感謝文」(原本コピー)で、帰国したいがために媚びへつらう、日本人捕虜の自虐的な内容を紹介。極寒の地で過酷な環境を生き抜くなか、人間の尊厳を失っていく苦悩を感謝文から読み解いた。

 昨年11月例会で取り上げた「伝説の『どりこの』」(宮島英紀著)。昭和5年の販売開始から終戦まで、怒涛の宣伝広告で、当時の日本人を熱狂させた滋養飲料の歴史をルポした書籍だ。どりこの発明者は伊勢崎市出身の高橋孝太郎博士。販売したのが桐生出身の「雑誌王」講談社創設者の野間清治。本を取り上げた例会担当者の市内自宅の近くに、発明者の縁続きだった家があり、付き合いのなかで奇跡的に所蔵していた幻の「どりこの」が参加者にふるまわれた。

 例会の最後には事務局の茂木さんが、川柳風の短詩書評を毎回寄せている。問合せ・参加希望などはその茂木さん(090-4703-9408)へ。(2020年12月16日)