【ひじ やすお】1952年12月11日、伊勢崎市生まれ、豊城町在住。北中(現三中)、前橋高校、筑波大学第一学群自然学類生物学科卒業(1期生)。鈴木建設(豊城町)役員を経て、伊勢崎市議2期、群馬県議会議員3期(議会運営委員会委員長・厚生文化常任委員会委員長歴任)。環境カウンセラー、技術士(建設部門建設環境)、測量士。高校生の時から知り合いの妻と大学3年時に結婚。長男、長女にはそれぞれ孫一人。読書・古典落語鑑賞・自然散策に親しむ。
SDGsを支援し「環境の街 日本一を目指す」臂候補
2021年伊勢崎市長選 3立候補者に聞く【3】

 任期満了に伴う伊勢崎市長選(来年1月10日告示、17日投開票)は、12年ぶりの選挙戦が展開される。五十嵐清隆現市長が支援を表明し、政策継続をベースに改革も訴える元自民党県議の臂泰雄氏(67歳 豊城町)、市政の刷新を掲げる36歳の4児ママで市議の栗原真耶氏(境上武士)、政治は未経験ながら「教育と政治は同じ」の理念の基に出馬する異色の学習塾経営者、蓬沢博亮氏(38歳 太田町)。これまで市政に無関心な市民にも、興味を喚起させる政策論争が期待される。政策を中心に3立候補者に聞いた。
第3回目は臂泰雄氏。

― 五十嵐市長が市長続投表明後、体調不良による出馬見合わせ、この間に新人立候補と、あわただしい動きをみせました。立候補に至るまでの心境は。

 県議としてこれからも五十嵐市政を支えようと考えていた最中の出馬辞退。市議・県議としての活動を通して市政の課題も把握し、今後に必要なことも分かっており、これまでのように県政のパイプ役として新市長を支えていくことも考えたが、自分がやってきたことを継続しながら、やり残したこと、もっとやれたことも振り返った。周囲の支援と協力の中、この大きな時代の波のなかで自分がやらなければ、の思いが決断を促した。

― 12年間の五十嵐市政をどのように評価しますか。その上での取り組み方針は。

 財政運営は手堅く、個別事業なども含めて基本的にやるべきことは、きちっと行ってきたと思う。一方、市民への発信力、市民活動への支援、市町村合併後の新市建設計画に基づく進捗などは市民の評価が分かれている。全国平均より高い市GDPと生産年齢人口に対して所得が低い、少ないという課題も見えている。政治信条の「共に生きる」という共生社会の実現に向けて行政の継続性を維持しつつ、課題を正面から捉えて事業を推進するために組織の見直しなどを検討している。

― 行政運営で具体的に検討しているのは。

 結論まで関わる「総合窓口」や市民の「声を聴く場」設置を考えている。支所のあり方を見直し、行政区の適正規模再編、副市長に国の人材登用、課題解決のためには外部人材も活用したい。補助金・助成金を見直し、施設・事業のスクラップ&ビルド化も行う。その他、農政部の新設など部局の一部再編を検討している。

― 産業、教育、まちづくり、インフラ整備も各種強化、充実策を打ち出していますが。

 誘致企業と市内企業、様々な業種間のマッチングによる連携の強化、工業団地内には集客施設を新設、観光物産部門で専門性を持つ職員の育成、配置を図りたい。学校では生きる力を学べる環境整備、実効性のある子供の貧困対策に取り組む。図書館の施設整備に合わせ、文化財や美術品などの展示施設、公共的複合施設整備、中心市街地活性化にまちづくり会社設置、JR伊勢崎駅から華蔵寺公園までの施設整備も検討したい。

― 環境カウンセラーとして環境問題への造詣が深く、政策も一歩踏み込んでいますね。

 国際社会共通の目標SDGs(持続可能な開発目標)を支援し、環境の街 日本一を目指していく。環境の街つくり条例、水環境・雨水利用条例の制定、温暖化防止係・水と緑の係設置、他にさまざまな環境整備推進や活動を支援したい。ごみ減量化を目指した処理方式の見直しと個別収集も考えている。市民の意識改革も求めていきたい。

― コロナ禍の市長選挙となりました。

 人が集まる集会などはできるだけ自粛することになる。有権者に知ってもらい、取り組みなどを伝える手段としてフェイスブック(FB)を11月に開設した。ブログもしばらく休んでいたものを今は一日置きのペースで更新している。2,3分だが、数パターンのプロモーションビデオを製作した。多くの若い人たちにも思いを伝えていきたい。

【取材メモ】先進的取組みの他自治体首長、東北復興と地方創生の課題に取り組むNPO法人代表などの特別寄稿も掲載した、政策提言選挙用リーフレット。積極的に情報を集め、多くの人の意見に耳を傾ける、氏の政治姿勢を物語る印刷物だが「分かりにくい」といった支援者の声にも触れ、思いを伝えることの難しさを反省する。
市民と行政が一体的に取り組む奈良県生駒市の小柴雅史市長が著した「『自治体3.0』」のまちづくり」。最近の印象に残った1冊として「市職員にも読んで欲しい」と感動を語った。(2020年12月23日)

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