【写真】中央で感謝状を手にする星野貴さんと殖蓮史談会の会員

郷土史家の星野さん遺族が膨大な資料を寄贈
散逸防ぎ郷土資料活かす事例に 殖蓮史談会


 郷土史家の星野正明さん(1933年〜2020年)の遺族が、残された膨大な文献資料などをこのほど殖蓮史談会(重田泰嗣会長)に寄贈した。星野さんは同会の元会員で、会長を務めたこともあった。同会では遺族に感謝状を贈り「貴重な資料の散逸を防ぐためにもありがたい」(重田会長)とお礼を述べた。

 資料を寄贈したのは星野さんの二男の貴さん(下植木町 58歳)。残された郷土史関係資料や書籍類、執筆原稿などは、軽トラックで6台分に及んだ。同会では整理後に、その活用方法を検討し、今後の郷土史研究に活かしていく。重田会長は「故人が残した資料の価値がわからず困惑している他の遺族の方々にも、こうした対処方法があることを知ってもらうことも大切」と訴える。

 伊勢崎市本町生まれの星野さんは太田中学卒業後、経済事情で進学をあきらめ、家業の食料品販売に携わる。20歳の時に父の病死で店を引継ぎ、後の「タイヨーストア」を経営する。傍ら近隣の史跡をめぐり、独学で郷土史研究に勤しんだ。「早朝の市場の仕入れが終わると、後は母親任せでもう店にはいなかった」と、当時の父親の打ち込みぶりを貴さんが思い起こす。星野さんが小学4年生の時、研究資料として拾い集めた石ころ。自宅庭の雨降りのぬかるみ対策として、それらをばらまいた母を烈火のごとく怒った、というエピソードも貴さんは明かしてくれた。

 殖蓮公民館主催の講座開設をきっかけに2002年に発足した「まんてん紙芝居の会」。その活動などにも加わり、創作民話や紙芝居にも手を広げた。あまが池の埋め立て阻止運動や粕川沿いの前方後円墳「一ノ関古墳」などの史跡保存活動にも力を注いだ。著作は「郷土史と私」(2004年)、殖蓮公民館たよりに連載した「ENJOYウォーキング」(2008年)、「高山彦九郎『子安神社道の記』平成探訪記1〜12」(2012年)、「伊勢崎市の史跡散歩」(2013年)など。全て伊勢崎市図書館で所蔵している。