【写真】銭兵商店に残る大きな柱時計と取引先に年賀タオル代わりに配った釘袋・布袋

中心街商店の歴史にふれ、未来探る活力に「伊勢崎まちなか文化祭」
まちなかギャラリー、各種講演会・演奏会・展示会など多彩に


商店に残る古い商売道具などから、まちの歴史や文化を見つめなおすなど、同時期開催の地域の多彩なイベントを通してまちの未来を考える「第1回 イセサキ☆ソノサキ 伊勢崎まちなか文化祭−愛と愛に挟まれたまち I−SESAK−I−」が10月31日から11月7日まで、伊勢崎市内の中心街で開かれている。相川考古館を事務局(0270-25-0082)に、同学芸員の相川裕保さんを中心とした有志で実行委員会を組織し2年前から準備を進めていた。

まちなかギャラリー「我が家の逸品」は、中心街の約30商店の古い商売道具や生活雑貨など歴史の一端を伝える品々を見ることができる。お米の内山の錻風袋(米の重さを計り、そのまま袋に入れるための道具)、和菓子の舟定屋の餡練り棒。渋澤製パンには単位が「貫」のままの昔の秤、パルク岡村の明治40年頃の本町商店街通りの街並み写真。親玉商店にも親族が渋沢栄一の運転手を勤め、その縁でもらったという渋沢の写真がある。

創業は約400年前に遡る1625年(寛永2年)の日用雑貨品を扱う銭兵商店。店内の壁に掛けられた柱時計は、1927年(昭和2年)に譲り受けて以降、最近はネジ巻の頻度こそ増したが、現在も動き続けている。直径50センチの時刻版には外国のメーカー名などが刻まれていた。修理の際に「かすれていたためか、きれいにされてしまった」と店主の久保田荘三(85歳)さんが残念がる。取引先などに年賀タオルのように配っていた釘袋・布袋には、砂糖・紙類・荒物他、保険代理店などの当時の扱い商品を宣伝している。腰に下げるための紐を通すフックがついており、電話番号は導入の早さをうかがわせる51番。

会期中は市図書館100周年事業、ギャラリーM「秋季日本画交友展」、多文化茶論粋庵「伊勢崎の電話番号物語」、相川考古館「群馬の博物館黎明期」などを開催。1日限定イベントは「源氏物語朗読会」、ピアノ演奏会、伊勢崎検定、秋の茶会、ファミコン体験、合唱団コールーエのポップスコーラス会を催す。チラシ裏面にはそれぞれのイベントを案内。パンフレットにはエリアごとのイベント日程や各店の逸品解説も掲載。伊勢崎の地名からその歴史を説き起こした企画趣旨では、相川さんが地元に寄せる熱い思いを語っている。(2021年11月2日)